中古車オークション最大手のUSSが8月1日に発表した2026年7月の月次データによると、会場平均成約価格は前年同月比8.1%高の134万5000円となり、11カ月連続で前年同月を上回りました。6月の6.9%から伸び率が再び拡大しており、円安を背景にした輸出業者の仕入れ意欲の強さが相場を押し上げています。中古車を買いたい方・売りたい方が今どう動くべきか、直近3カ月のデータから整理します。
結論:出品は増えても品薄感は解消せず、相場は下支えが続く見通し
- USSの7月平均成約価格は134万5000円(前年同月比+8.1%)。11カ月連続のプラスで、5月+10.6%→6月+6.9%→7月+8.1%と、6月にいったん鈍化した伸び率が7月に再加速しました
- 出品台数は前年同月比15.0%増の35万2947台と大幅に増えたものの、成約率はむしろ2.4ポイント低下して63.8%に。出品が増えても値頃な車両ほど輸出業者に競り落とされ、国内向けに残る在庫の質・量は依然タイトという構図です
- 背景にあるのは円安の長期化です。ドル円は8月12日時点で158円台後半〜160円台前半で推移しており、160円が意識される水準が続いています。円安が進むほど日本の中古車は海外バイヤーにとって割安になり、オークションでの仕入れ意欲が強まります
- 海外での人気が高いアルファードやハイエース、ランドクルーザーといった車種は特に相場が締まりやすい一方、国内販売の主力であるN-BOXなど軽自動車は比較的値動きが緩やかです
- 買いたい方は「品薄が解消してから」を待つ姿勢だと機会を逃しやすく、売りたい方には現状は良いタイミングが続いていると言えます
何が起きたか:11カ月連続プラス、伸び率は再加速
USSは毎月、傘下オークション会場(USS東京・USS横浜など)の成約実績を月次データとして公表しています。2026年7月分(8月1日発表)の主な数値は次の通りです。
| 項目 | 2026年7月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 平均成約価格 | 134万5000円 | +8.1%(11カ月連続プラス) |
| 出品台数 | 35万2947台 | +15.0% |
| 成約台数 | 22万5196台 | +10.8% |
| 成約率 | 63.8% | ▲2.4ポイント |
※ 数値はUSSが公表した月次データおよび日本経済新聞の報道による参考値です。
直近3カ月の前年同月比の伸び率を並べると、5月+10.6%→6月+6.9%→7月+8.1%という推移になります。6月にいったん伸びが鈍化したものの、7月は再び加速しました。

注目したいのは、出品台数が15.0%も増えているのに成約率が2.4ポイント下がっている点です。単純に考えれば、出品が増えれば需給が緩んで相場は落ち着きそうなものですが、実際には逆の動きになっています。これは、増えた出品の中に輸出業者の「仕入れ基準」に届かない車両(年式が古い・状態が悪いなど)が相応に含まれており、条件の良い車両は従来どおり高値で競り落とされていく一方、それ以外は成約に至りにくくなっている、という二極化が進んでいる可能性を示しています。
ただし、同じ数字を「出品が増えて成約率が下がった=需給バランスが緩みはじめた兆し」と読む見方もあり、業界紙にはその観点からの報道もあります。どちらの読みが正しかったかは、平均価格と成約率が今後そろって下向くかどうかで分かれます。次回以降の月次データでは、価格だけでなく成約率の推移もあわせて確認してください。
なぜ上がっているか:円安と輸出需要が主因
相場を押し上げている最大の要因は、円安を背景にした中古車輸出需要の強さです。ドル円相場は2026年8月12日時点で158円台後半から160円台前半のレンジで推移しており、市場では160円が節目として意識される展開が続いています(※ 為替は日々変動するため、あくまで本記事執筆時点の参考値です)。
円安が進むと、海外バイヤーから見た日本の中古車は相対的に割安になります。オートオークションは国内の在庫業者だけでなく輸出業者も参加する競り市場のため、円安が進むほど輸出業者の入札価格が上がりやすく、その分だけ国内の買取業者・販売店が競り負けるケースが増えます。結果として、良質な中古車ほど輸出向けに流出しやすくなり、国内の店頭在庫は相対的に品薄・高値になりやすい、という構図が続いています。
海外での人気が特に高いのが、耐久性・信頼性への評価が定着しているアルファードやハイエース、ランドクルーザーといった車種です。これらは中東・アジア圏を中心に安定した需要があり、オークションでも輸出業者の入札が集中しやすい傾向にあります。一方、軽自動車は輸出向けの需要が登録車ほど大きくないため、相場の上振れは相対的に緩やかです。軽自動車の新車販売で7月も首位を守ったN-BOXのような主力車種は、供給自体は比較的安定しているとみられます。
中古車市場への影響:買い時を待つほど有利になるとは限らない
IKURA Carsの読者にとって気になるのは、この状況が今後どう続くのか、そして自分の売買判断にどう影響するかだと思います。ポイントは2つです。
① 「品薄が解消してから買う」という戦略は機会損失になりやすい
出品台数自体は前年より増えているため、一見すると「もう少し待てば選択肢が増えて相場も落ち着くのでは」と考えたくなります。しかし今回のデータが示すのは、出品が増えても良質な車両から輸出業者に競り落とされていくため、国内向けの品薄感は簡単には解消しないという実態です。円安基調が続く限り、この構図が大きく変わる可能性は高くないとみられます。特にアルファードやハイエース、ランドクルーザーなど輸出人気の高い車種を狙っている方は、様子見が長引くほど選択肢が狭まりやすい点に注意が必要です。
② 売りたい方には、引き続き良いタイミングが続いている
逆の立場から見れば、保有している中古車を売却する側にとっては、11カ月連続で相場が前年を上回っているという事実は追い風です。とくに輸出人気の高い車種・状態の良い車両を保有している場合、オークション相場の高さがそのまま買取価格に反映されやすい局面が続いています。
読者はどうすべきか
買いたい方:品薄の解消を待つよりも、予算内で条件に合う車両が見つかった時点で早めに判断する方が結果的に有利になりやすい局面です。当サイトの狙い目度マップで年式・走行距離ごとの相場感を確認しつつ、車種比較で候補を絞り込むことをおすすめします。輸出人気の高い車種にこだわらなければ、軽自動車など相場の上振れが緩やかな選択肢も検討の余地があります。
売りたい方:現状は相場が下支えされやすいタイミングが続いています。とくに海外で人気の高い車種を保有している場合は、リセール予測で今の価値感を確認したうえで、早めの売却を検討する価値があります。
様子見の方:円安の長期化がこの相場の前提になっているため、為替が円高方向に大きく振れれば構図が変わる可能性はあります。当サイトが7月28日に公開した2026年7月の中古車相場動向とあわせて、月次の動きを継続的に確認しておくと判断材料になります。
まとめ
- USSの2026年7月データでは、平均成約価格が前年同月比8.1%高の134万5000円となり、11カ月連続で前年を上回りました
- 出品台数は15.0%増と大きく伸びましたが、成約率は2.4ポイント低下しており、品薄感は解消していません
- 主因は円安を背景にした輸出業者の仕入れ意欲の強さで、アルファード・ハイエース・ランドクルーザーなど輸出人気車種で相場が締まりやすい一方、軽自動車の値動きは比較的緩やかです
- 買いたい方は様子見が長引くほど機会を逃しやすく、売りたい方には引き続き良いタイミングが続いているとみられます
なお、実際の取引価格は車両の状態・年式・地域・タイミングによって変動します。売却を検討している方は複数社で査定を取ると、相場より高い条件が見つかることもあります。