日本自動車輸入組合(JAIA)が2026年8月6日に発表した2026年7月の輸入車(国産車を除く外国メーカー車)新規登録台数は、前年同月比10.0%減の1万7079台でした。全体を押し下げているのは、シェア上位を占めるメルセデス・ベンツ・BMW・フォルクスワーゲン・アウディ・MINIの独系5ブランドで、いずれも前年割れとなっています。円安によるコスト増とモデル切替期が重なった影響とみられ、この不振は7月に始まった話ではなく数カ月続いている流れです。中古のベンツ・BMW・アウディを買う・売るタイミングをどう考えればよいか、整理します。
※ 情報の鮮度について:本稿が扱うJAIAの7月分統計は2026年8月6日発表で、本稿公開までに約11日が経過しています。速報ではなく「直近数カ月の動きの解説」として扱います。なお同じ7月分データのうち、テスラを中心とした輸入EVの伸びについてはテスラなど輸入EVが7月28%増、世界のEV販売は地域で明暗 中古テスラの買い時はで扱っているため、本稿では独系ブランドを中心とした「伸びなかった側」に焦点を当てます。
輸入車新規登録台数とは、7月はどう動いたか
JAIA発表の7月分統計を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 2026年7月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 輸入車全体(国産車除く) | 1万7079台 | ▲10.0%(2カ月ぶりのマイナス) |
| うちEV区分 | 3056台 | +27.5%(7カ月連続プラス) |
| うち「その他」区分(テスラが大半) | 1994台 | +95.3% |
※ 数値はJAIA(日本自動車輸入組合)発表・各紙報道(いずれも2026年8月6日)による参考値です。テスラは単独ブランドとしてJAIA統計上に現れず、「その他」区分からの推定です。

表の通り、輸入車全体は2カ月ぶりの前年割れとなりましたが、内訳を見るとEV区分は7カ月連続のプラスを維持しています。つまり「輸入車が全体的に売れなくなった」のではなく、EV・テスラ以外の部分、なかでも独ブランドの主力モデルが減速しているというのが実態です。シェア上位を占めるメルセデス・ベンツ・BMW・フォルクスワーゲン・アウディ・MINIの独系5ブランドがそろって前年同月を下回りました。価格帯別に見ても、1000万円以上・400万円台〜1000万円未満・400万円未満のいずれの価格帯でも前年同月を下回っており、特定の高価格帯だけが弱いわけではない点も特徴です。
なぜ独ブランドの新車登録が減っているのか
報道では、独系ブランドの不振の背景として主に2つの要因が挙げられています。
- モデル切替期にあたる車種が複数あったこと。フルモデルチェンジや大幅改良を控えたタイミングでは、旧モデルの受注を早めに絞り、新モデルの流通が始まるまで登録台数が谷になりやすくなります。
- 円安による事業環境の厳しさ。輸入車は本体価格の多くがユーロ・ドル建てで決まるため、円安が進むほど日本での販売価格に転嫁されやすく、価格改定のタイミングで一時的に受注が鈍る傾向があります。
この2つが同じ時期に重なったことが、7月の独系ブランドの落ち込みにつながったとみられます。なお独系ブランドの不振自体は7月に始まったものではなく、2026年上半期(1〜6月)の累計でも、メルセデス・ベンツ(2万3064台・▲7.8%)、BMW(1万4872台・▲17.2%)、フォルクスワーゲン(1万3872台・▲21.2%)、アウディ(1万320台・▲10.3%)、MINI(8748台・▲8.7%)と、この5ブランドがそろって前年割れでした(同じ独系でもポルシェは5797台・+4.7%と増加しており、独系全体が一律に弱いわけではありません)。2026年5月時点でも「上位ブランドの減速が続き5カ月連続マイナス」と報じられており、輸入車全体の登録台数はこれまで国産メーカーの逆輸入車やEVの伸びに下支えされてきました。7月についに輸入車全体の合計もマイナスに転じたことで、独勢の減速がより目立つ結果になったと言えます。
※ 上半期の数値はJAIA統計の各紙報道による参考値です。7月単月のブランド別内訳は本稿執筆時点で確認できていないため、7月の「独5ブランド不振」は上半期の傾向の延長として扱っています。
中古ベンツ・BMW・アウディの買い時への影響は
新車の登録台数が落ちている局面は、中古車市場にとっては見方が分かれる材料です。
まず短期的には、新車の供給が細ることで、程度の良い現行モデルの中古個体(特に低走行・上位グレード)への需要が相対的に強まりやすくなる可能性があります。ディーラー側が新モデル投入までの端境期にあることを踏まえると、下取り車の入庫ペースも一時的に鈍る可能性があり、良質な中古個体はむしろ見つけにくくなる場面が出てくるかもしれません。
一方で、円安を理由とした新車価格の値上げが今後も続くようだと、中古車との価格差がさらに開き、「新車は高いから中古で」という需要が独系ブランドの中古車に向かいやすくなる面もあります。実際にどちらの力が強く働くかは、モデルチェンジ後の新車供給がどれだけ早く回復するか次第で、現時点では見通しとしか言えません。
※ 中古のベンツ・BMW・アウディの実勢価格は年式・グレード・走行距離による差が非常に大きく、ここでの整理は全体傾向の参考値です。個別車両の相場は車種比較で確認することをおすすめします。
過去の例では、モデルチェンジ直前・直後は旧型の中古相場が一時的に緩む一方、新型の納期が延びやすい輸入車の場合、旧型が「新車が届くまでのつなぎ」として再評価され、下げ止まりが早いことも珍しくありません。独系ブランドで気になる車種がある場合は、モデルチェンジの時期と自分が欲しい年式・グレードの相場を照らし合わせて動くのが安全です。
読者はどうすべきか
- 中古のベンツ・BMW・アウディなど独系輸入車を売ろうか迷っている方:新車の供給が細っている今の時期は、程度の良い個体ほど買い手が付きやすい可能性があります。査定診断で現在の推定価値を確認しておくとよいでしょう。
- 独系輸入車を中古で狙っている方:モデルチェンジ直前・直後の車種は、旧型の中古相場が一時的に動きやすい時期です。車種比較で候補車のグレード・年式ごとの価格差を確認してください。
- 輸入車全体の買い時を見極めたい方:独系ブランドとEV・テスラでは動きが逆方向です。買い時マップで車種ごとの傾向を確認することをおすすめします。
- 予算内で新車と中古を比較したい方:円安による本体価格の値上がりが続く場合、中古との差はさらに開く可能性があります。予算シミュレーターで最新の新車価格と中古車の総額を並べて確認してください。
輸入EV・テスラの値動きについてはテスラなど輸入EVが7月28%増、世界のEV販売は地域で明暗 中古テスラの買い時は、円安と中古車相場全体の関係についてはUSS中古車オークション相場、7月まで11カ月連続で前年超え 134.5万円にもあわせて参考にしてください。
まとめ
- JAIA発表の2026年7月の輸入車新規登録は前年同月比10.0%減の1万7079台で、2カ月ぶりのマイナスでした
- シェア上位のメルセデス・ベンツ・BMW・フォルクスワーゲン・アウディ・MINIの独系5ブランドがそろって前年割れ。価格帯を問わず全体的に減少しています
- 背景にはモデル切替期と円安によるコスト増が重なったことがあるとみられ、独系ブランドの減速自体は5月ごろから数カ月続いています
- 一方でEV区分は7カ月連続でプラスを維持しており、輸入車市場は「独系が伸び悩み、EV・テスラが伸びる」という二極化が進んでいます
- 中古の独系輸入車は、新車供給が細る局面では良質な個体から動きやすくなる可能性がある一方、円安が続けば中古需要そのものが強まる可能性もあり、モデルチェンジの進み具合を見ながら判断するのが安全です
なお、実際の登録台数・相場は月によって変動し、個体の状態や為替動向によっても左右されます。売買を検討する際は最新の統計とあわせてご確認ください。