2026年7月28日の熊本地震から、まもなく1カ月です。当サイトでは地震発生直後のトヨタ九州3工場の停止、決算発表と絡めた各社の状況整理、そしてホンダ3工場の8月20日再開発表と、段階を追って生産への影響をお伝えしてきました。結論から言うと、この1カ月で起きたのは「地震による供給停止→台風による1日の追加停止→8月中旬から下旬にかけての再開」という流れで、トヨタは8月17日に国内全14工場、ホンダは8月20日に自動車3工場が稼働に復帰しました。新車の納期悪化を理由に中古車へ流れていた需要の下支え要因は、今後数週間から数カ月かけて和らいでいくとみられます。中古のN-BOX・シビック・レクサスRX・NXを検討している、あるいは売却を考えている読者に向けて、この1カ月の流れと今後の見立てを整理します。

※ 情報の鮮度について:本記事は2026年7月28日〜8月24日にかけて公表された複数の一次情報(トヨタ・ホンダ両社の公式発表、国内報道各社)を期間で束ねて振り返る「トレンド」記事です。個別の発表そのものは既に当サイトの各記事で速報・解説済みで、本稿はその後の推移を1カ月単位でまとめ直す位置づけです。8月17日のトヨタ田原工場再開と8月20日のホンダ3工場再開は、いずれも実施済みです(ホンダの稼働状況ページは8月20日更新で3工場とも「再開しました」と記載)。一方で、受注残がどの程度解消したかを示す公表数値はまだ出ていないため、中古相場への波及については見通しとして扱います。

何が起きたか:地震・台風・再開までの1カ月

まず時系列を整理します。

時期出来事対象
7月28日熊本地震(最大震度7・M7.1)発生熊本県内の部品サプライヤー(アイシン九州・アステモ宇城など)
7月29日〜8月5日トヨタ九州3工場(宮田・苅田・小倉)停止レクサスRX・NXなど
8月5日〜8月19日ホンダ埼玉製作所(寄居)停止シビックなど
8月6日〜8月19日ホンダ鈴鹿製作所・ホンダオートボディー停止N-BOXなど
8月7日台風13号接近でトヨタが国内9工場・17ラインを停止(1日のみ)カローラ・カムリ・RAV4など複数車種
8月13日アステモ宇城が一部ラインで生産・出荷を再開ホンダ向けダンパー用部品
8月17日トヨタ田原工場が再開し、国内全14工場が稼働に復帰レクサスLS・大型SUVなど
8月20日ホンダ3工場がそろって稼働を再開シビック・N-BOX・軽自動車
8月24日(本日)ホンダ熊本製作所が完成車生産を再開する予定二輪車

※ 日付・対象車種は各社公式発表および日本経済新聞・時事通信・NHK・日刊自動車新聞等の報道によります。

この表で読み違えやすいのが台風13号の行です。9工場・17ラインという規模のわりに、停止は8月7日の1日だけで、その後は夏季休業(8〜16日)を挟み、8月17日に田原工場の再開と合わせて国内全14工場が稼働に戻りました。台風は数字の見た目ほど供給を削っていません。

ホンダ側の再開が8月20日までずれ込んだのは、系列部品メーカー・アステモの宇城工場(熊本県宇城市)の被災が長引いたためです。ダンパーに組み込む焼結部品をここから調達していたため、代替が利きませんでした。アステモ宇城は8月7日に一部ラインで稼働を再開し、8月13日からは生産・出荷を再開。これを受けてホンダが8月17日に「3工場を20日に再開する」と発表し、実際に20日から3工場とも稼働に戻っています。

震源に近い九州だけでなく、部品供給網を通じて愛知県の田原工場(レクサスLS等)にも影響が波及し、さらに台風という別の自然災害が重なったことで、トヨタの生産正常化は当初の想定より複雑な経路をたどりました。一方のホンダは、系列部品メーカー・アステモの宇城工場(熊本県宇城市)の被災が長引いたことで、埼玉・鈴鹿の2工場の停止がトヨタより長期化しました。

なぜ工場停止が中古相場を動かすのか

工場停止それ自体は生産側の話ですが、これが中古車市場に波及するメカニズムはシンプルです。新車の納期が延びると、「今すぐ乗りたい」層の一部が中古車に流れ、対象車種の中古相場を下支えする方向に働きます。当サイトがホンダ3工場再開の記事で整理した通り、N-BOXは2026年7月に軽自動車販売で3カ月連続首位に立つ人気車種で、もともと納期が延びやすい状況にありました。人気車種であるほど、供給停止の影響が新車納期の悪化という形で表面化しやすく、それがそのまま中古相場の下支え材料になります。

逆に言えば、工場が再開し受注残の消化が進めば、この下支え材料はいったん和らぐ方向に働きます。今回はその工場の再開まで済んだ、というのが8月24日時点の位置です。ただし**「工場が再開した瞬間に相場が動く」わけではありません**。停止期間中に積み上がった受注残をどのくらいのペースで消化できるかによって、実際に中古相場へ波及するまでのタイムラグが変わります。目安として、供給が止まっていたのはトヨタが実質1週間強、ホンダが2週間ほどで、長期の生産停止と比べれば受注残の山は小さいとみられます。

車種ごとの見立て

  • N-BOX(ホンダ):鈴鹿製作所は8月20日に稼働を再開しました。相場の水準を確認しておくと、当サイトのN-BOX相場ページに載っている流通台数は26,562台、平均価格は127万円(レンジは10万〜410万円・2026年8月時点の参考値)です。世代を絞ると、マイナーチェンジ後の相場記事の時点(8月15日)で現行モデルは170万円台〜230万円台が中心でした。もともと値崩れしにくい車種で、工場停止で相場が急騰していたわけではありませんが、供給が戻れば「品薄だから急いで中古を買う」という動機はさらに弱まるとみられます。
  • シビック(ホンダ):埼玉製作所(寄居)も8月20日に再開しました。登録車の中でも生産拠点が集中している車種のため、工場再開が納期改善に直結しやすいと考えられます。
  • レクサスRX・NX(トヨタ):宮田工場は世界のレクサス車のおよそ半数を生産する最大拠点です。震災前の新車納期は目安で3〜6カ月とされ、改善傾向にあったところへ今回の停止が重なりました。九州3工場は8月5日までに、台風の影響を受けた田原工場も8月17日に再開し、トヨタは同日時点で国内全14工場が稼働に戻っています。ホンダの対象車種より3日早く正常化にたどり着いた形です。

いずれの車種も、相場が「急落する」という話ではなく、供給制約という下支え要因がやや弱まる方向に働く、という程度の変化にとどまるとみられます。断定的な相場予測ではなく、あくまで見通しとして捉えてください。

中古車を買う・売るなら今どう動くべきか

  • 中古のN-BOX・シビックを検討している方:生産が戻ったことで品薄感は和らぐ方向に入りました。以前ほど急いで動く必要性は薄れつつあるとみられます。ただし受注残の解消には数週間〜数カ月かかる可能性があり、新車納期がすぐに震災前の水準へ戻るとは限りません。買い時診断ツールで現在の狙い目ゾーンを確認しつつ判断することをおすすめします。
  • 中古のレクサスRX・NXを検討している方:宮田工場を中心とした九州拠点は8月5日までに、田原工場も8月17日に再開済みで、対象車種の中では正常化が先行しています。車種比較ツールでライバル車種の相場もあわせて確認しておくと判断材料が広がります。
  • 対象車種を売却するか迷っている方:供給制約という追い風がいったん和らぐ可能性がある局面です。査定診断ツールで現時点の参考価格を確認し、相場の動きを継続してウォッチすることをおすすめします。

読者はどうすべきか:再開は確定、相場への波及はこれから

工場が再開したこと自体は、両社の公式発表と報道で確定しています。ここは推測ではありません。

一方で、停止期間中に積み上がった受注残がどの程度解消したかを示す数字は、まだどこからも出ていません。納期が実際に戻り、それが中古相場に表れるまでには、稼働再開後の数週間〜数カ月の生産・出荷状況を見る必要があります。

したがって現時点で言えるのは「下支え要因が外れる方向に入った」までで、「相場が下がる」ではありません。急いで売る理由も、急いで買う理由も、まだ強くはない局面です。当サイトでは、受注残や納期の数字が出てきた段階で続報をお伝えします。

まとめ

  • 2026年7月28日の熊本地震を起点に、トヨタ九州3工場・ホンダ埼玉/鈴鹿工場などが相次いで停止し、8月7日には台風13号でトヨタが国内9工場・17ラインを1日止めました
  • トヨタは8月17日の田原工場再開で国内全14工場が稼働に復帰し、ホンダも8月20日に自動車3工場がそろって再開しました。ホンダ熊本製作所(二輪)も8月24日に完成車生産を再開する予定で、地震から約4週間でひととおり元に戻る見通しです
  • 工場停止による新車納期の悪化は、N-BOX・シビック・レクサスRX・NXなど対象車種の中古相場を下支えする材料になっていましたが、生産が戻ったことでこの下支えはいったん和らぐ方向に入りました
  • ただし受注残の解消状況を示す数字はまだ公表されておらず、相場が急落するという話ではありません。供給制約という追い風がやや弱まる程度の変化にとどまるとみられます
  • 実際の中古車取引価格は車両状態・地域・時期によって変動します。売却を検討している方は、複数社で査定を取ると相場より高くなることもあります