米国の中古車卸売価格を示す「マンハイム中古車価格指数」の2026年10月の確定値が、コックス・オートモーティブから公表されました。指数は206.8で、9月から0.5%、前年の10月から2%高い水準です。10月前半の速報(207.4、前月比0.7%上昇)と比べると、月全体では上昇幅がやや小さくなりました。

この記事は、10月前半の数字を扱った米国の中古車卸売価格、10月前半は前月比0.7%上昇の続報です。前回は燃費のよいハイブリッドを中心に見ましたが、今回は確定値で動きが目立ったEV(電気自動車)に注目し、日本の中古リーフの相場をどう見ればよいかを整理します。結論を先に言うと、米国の卸売指数がそのまま日本の中古リーフの店頭価格に結びつくわけではなく、国内では年式と走行距離ごとの価格差を見て選ぶのが現実的とみられます。

情報の鮮度:一次情報は、コックス・オートモーティブが米国時間の2026年11月6日に公表した「マンハイム中古車価格指数 2026年10月の動向」です。公表から1日たたない内容で、数値は同社の公表による参考値、国内の中古車相場はikura-cars.comの2026年11月時点のデータによる参考値です。

マンハイム中古車価格指数とは:米国の「卸の相場」を示す指標

マンハイムは米国の中古車オークションを運営する会社で、その取引をもとにコックス・オートモーティブが毎月算出するのがマンハイム中古車価格指数(MUVVI)です。車種の構成、走行距離、季節による変動をならして、卸売価格の動きを1本の数字で見られるようにしています。日本でいえば、中古車オークションの成約価格に近い位置づけで、店頭の価格より先に動く先行指標として見られます。

10月確定値で何が起きたか:指数206.8、前半の上昇は縮小

コックスの公表内容を、前回記事の前半の数字と並べて整理します。

項目10月前半(10月15日まで)10月確定(月全体)
指数(調整後)207.4206.8
前月比0.7%上昇0.5%上昇
前年同月比2.2%上昇2%上昇
調整前の卸売価格・前月比2%下落2.3%下落
調整前の卸売価格・前年同月比0.5%上昇0.3%上昇

※ 数値はコックス・オートモーティブの公表による参考値です。前回記事の前半の数字との比較です。

指数は調整後で206.8となり、9月の205.9から0.5%上昇しました(9月分は前回記事でも触れた、8月から1.1%の下落でした)。コックスは、10月の前月比の平均的な動きを0.3%の上昇としており、今回の0.5%はそれをやや上回る水準です。

一方、季節要因などをならす前の卸売価格は、9月から2.3%下がりました。10月は例年1.5%ほど下がる月で、今年はそれより下げ幅が大きかったことになります。調整後の指数が上がっているのは、季節で価格が下がりやすい時期の動きをならした結果です。前年同月比も、調整後は2%高、調整前は0.3%高と、数字の見え方が大きく異なります。

前半の207.4から月全体で206.8に下がったことは、10月の後半は価格が前半より弱含んだことを示します。ただし、コックスの公表から後半の理由までは読み取れず、ここから先の見方は推測の域を出ません。

卸売の在庫日数は28.1日で、9月から0.7日短くなりました(前年の同じ時期より0.1日長い水準です)。卸の在庫は前月より薄い状態が続いています。

EVは前年比6.6%高、ただし前月比では下落

今回の数字のなかで日本の読者に関わりが深いのは、EVと、それ以外の車の動きの差です。

区分前年同月比前月比(9月から)
EV指数6.6%上昇0.9%下落
EV以外の指数1.1%上昇0.4%上昇

※ 数値はコックス・オートモーティブの公表による参考値です。

EVの指数は前年の10月を6.6%上回っていますが、9月からは0.9%下がりました。10月前半の速報では、前年同月比6.8%上昇・前月比0.7%下落でしたから、月全体ではEVの前月比の下落が少し広がった形です。EV以外の指数は、9月から0.4%上昇しています(前半は0.7%上昇でした)。

コックスは10月前半の公表で、EVの上昇ペースが鈍っている背景として、リースが終わったEVが市場に増えていることを挙げていました。今回の確定値の公表でも、EVが前月比で下がっている点は同じ方向の動きです。ただし、確定値の公表から、その理由が変わったかどうかまでは確認できていません。

車の種類別では、前年同月比で相対的に強かったのがEVとコンパクトカー、下がったのが高級車・ピックアップ・SUVと整理されています。大きな車や高級車が弱く、小さな車やEVが相対的に堅調という傾向は、前回の記事で見た「燃費のよい車が強い」という流れと同じ向きです。

日本の中古リーフ相場への見方:米国と直結はしないが、供給の厚さは確認できる

米国のEV指数の動きは、日本の中古リーフの価格に直接は反映されません。米国の指数は米国内の卸の取引で決まるもので、日本の店頭価格は日本国内の需給と国内オークションの相場に左右されるためです。米国のEVの値動きを日本の中古EVに当てはめて「上がる」「下がる」と見るのは、現時点では根拠が足りません。同じ考え方で、テスラの決算と中古Model Y・Model 3の相場を整理したテスラ7〜9月期決算の記事も参考になります。

そのうえで、国内の中古EVを選ぶ際の目安として、当サイトのデータで日産リーフの2026年11月時点の相場を確認します。

項目リーフ
流通台数1,442台
平均価格138万円
価格帯5〜405万円
最も流通量が多い年式2022年式(303台)

※ 相場はikura-cars.com調べの2026年11月時点の参考値です。当サイトのリーフのページはグレード・電池容量・航続距離の区分がなく、ここでは台数と価格のみを引いています。

年式別の価格帯

年式別の相場は、年式で価格差が大きいことを示しています。

年式台数価格帯
2025年式52台125〜405万円
2024年式131台105〜365万円
2023年式96台85〜265万円
2022年式303台65〜245万円
2021年式201台65〜405万円
2018年式184台25〜405万円

※ 2021年式・2018年式の価格帯の上限(405万円)は、同じ年式の一部の車に高い価格が付いていることによるもので、年式の中央の水準を示すものではありません。

流通がもっとも厚いのは2022年式で、303台あり、価格帯は65〜245万円です。2024年式は131台で105〜365万円、2025年式は52台で125〜405万円と、年式が新しいほど下限と上限がともに高くなります。2022年式の下限(65万円)と2025年式の下限(125万円)を比べると、安い側の価格で60万円の開きがあります。

走行距離で見ると、台数が多いのは2.0〜3.0万kmの244台(価格帯5〜365万円)と、5.0〜7.0万kmの252台(5〜245万円)で、走行距離でも価格帯の幅が大きく変わります。台数が多い車種なので、年式と走行距離の条件を絞れば、比較できる候補は十分に見つかるとみられます。

中古EVを買う人・売る人はどう動くか

買う人

  • 米国の指数を理由に、急いで買う必要は見当たりません。国内のリーフは1,442台が流通しており、年式・走行距離・価格を並べて比べる余裕があります。
  • 候補を絞るときは、買い時ツールで年式と走行距離ごとの割安なゾーンを確認し、比較ツールで候補を横に並べると判断しやすくなります。
  • EVでは、駆動用バッテリーの劣化状態と保証の対象範囲を、購入前に確認しておくのが基本です。相場ページにはバッテリーの区分がないため、同じ年式でも状態で価格が変わる点に注意してください。

売る人

  • リーフを持っている場合、売却の時期を米国の卸売指数で決める必要は、現時点ではないとみられます。まずはリセールツールで3年後・5年後の見込みを見て、複数の見積もりを比べるのが基本です。
  • 米国の卸売の動きは、国内の査定額より為替や輸出の需給を通じて間接的に反映される可能性があります。ただし、その影響の大きさは今回の公表からは確認できません。

今後の見どころ

コックスは、9月分の公表(10月7日)で2026年末の指数の見通しを前年末比で約0.2%の上昇に引き下げていました。10月確定の前年同月比2%高は、その見通しの水準より強い数字ですが、コックスは10月前半の公表で、前年の10月が弱かったことの反動が大きいと説明しています。次の動きは、11月中旬の速報で確認できます。日本の国内相場については、USSオークション9月の記事などで整理している国内オークションの動きと、あわせて見ておくと判断しやすくなります。

まとめ

  • 米国のマンハイム中古車価格指数は、2026年10月の確定値が206.8で、前月比0.5%、前年同月比2%の上昇でした(コックス・オートモーティブが11月6日公表)。前半の207.4(前月比0.7%上昇)からは上昇幅が小さくなっています。
  • 調整前の卸売価格は9月から2.3%下がり、例年の10月の下げ幅(1.5%)を上回りました。調整後の指数と調整前の価格では、見え方が大きく異なります。
  • EV指数は前年同月比6.6%高でしたが、9月からは0.9%下がりました。EV以外の指数は前年同月比1.1%高、前月比0.4%高でした。
  • 米国の指数と日本の中古リーフの店頭価格は直結しないとみられます。国内のリーフは平均138万円・1,442台が流通しており、年式で価格差が大きいため、年式・走行距離・バッテリーの状態を比べて選ぶのが現実的です。

なお、実際の中古車取引価格は車両状態・年式・グレード・地域によって変動します。