中古車オークション最大手のUSSが2026年10月5日付で公表した9月分の月次データで、成約車両単価(落札された車の平均価格)は127万5000円となり、前年同月の130万3000円を下回りました。前年同月比は97.8%で、前年を割り込むのは2025年8月以来、13カ月ぶりです。前回の記事(USS中古車オークション、8月の伸び率+1.9%に急減速)では「12カ月連続プラスもペース鈍る」とお伝えしましたが、その連続記録が9月で止まったことになります。

情報の鮮度:本稿の一次情報はUSSが2026年10月5日に公表した「USSオートオークション実績(速報)2027年3月期 オークション月次データ」で、公表から1日以内の内容です。以下の数値はすべて同資料によります。

結論:卸価格は前年割れ、成約率の低下が目立つ。ただし小売価格への波及は時間差があるとみられる

  • 9月の成約車両単価は127万5000円(前年同月比97.8%)。2025年8月(前年同月比98.5%)以来、13カ月ぶりの前年割れです
  • 出品台数は32万9,966台(前年同月比119.2%)と大きく増えた一方、成約台数は21万2,488台(同109.2%)。成約率は64.4%で、前年同月の70.3%から5.9ポイント下がりました
  • 曜日をそろえた比較(USS公表)でも、成約車両単価は127万5000円と前年の129万円に対し98.8%で、前年割れという結論は変わりません
  • 4〜9月の累計では成約車両単価が128万6000円で前年同期比106.5%と、上半期全体では高い水準です。直近の9月だけが前年を下回った形です
  • 売る方・買う方とも「卸の相場は頭打ちから軟化へ向かい始めた兆し」として注視する局面ですが、1カ月分のデータで流れが変わったと断定はできません

USSオークションとは:相場の先行指標として見られる理由

USS(ユー・エス・エス)は、全国で中古車のオークション会場を運営する最大手です。オークションは中古車販売店が仕入れる「卸」の場で、ここでの落札価格は、数週間から数カ月のあいだに店頭の販売価格へ反映されていくとみられています。そのため、店頭価格より先に動く先行指標として見られます。

USSは毎月、会場全体の出品台数・成約台数・成約率・成約車両単価を公表しています。この単価は車種や年式を問わない全体の平均なので、「高い車が多く出たか」「安い車が多く出たか」といった構成の変化にも左右されます。1つの数字だけで相場の良し悪しは判断できず、成約率や台数と合わせて読む必要があります。

何が起きたか:4〜9月の推移

2026年度(2027年3月期)の月次データを並べると、9月の位置づけが分かります。

月成約車両単価前年同月比出品台数成約台数成約率(前年同月)
4月122万1000円114.6%34万8,991台22万4,073台64.2%(61.1%)
5月131万0000円110.6%28万1,669台18万5,404台65.8%(64.5%)
6月131万5000円106.9%31万9,720台20万9,525台65.5%(63.4%)
7月134万5000円108.1%35万2,947台22万5,196台63.8%(66.2%)
8月124万8000円101.9%25万4,517台16万9,966台66.8%(69.6%)
9月127万5000円97.8%32万9,966台21万2,488台64.4%(70.3%)

※ 数値はUSSが公表した月次データ(速報)による参考値です。百分率は小数点第2位を四捨五入しています。

前年同月比は4月の114.6%から、5月110.6%、6月106.9%、7月108.1%、8月101.9%と鈍化し、9月に100%を割りました。月間の金額で見ると、9月は8月の124万8000円から2万7000円(2.2%)高い水準ですが、ピークだった7月の134万5000円と比べると7万円(5.2%)低くなっています。

9月の特徴:出品が増え、買い手がついた割合が下がった

9月の特徴は、出品の増加と成約率の低下がそろって出たことです。

出品台数は前年同月比で19.2%増えました。ただしこの月はオークションの開催数が前年の74回から76回に増えており(USSの注記では、会場の統合を前年と同一条件にそろえて数えると当期は80回)、開催数の違いが台数を押し上げている面があります。USSが公表している曜日をそろえた比較では、出品は前年比115.4%、成約は106.3%でした。

出品から成約を引いた「成約に至らなかった台数」は、9月が11万7,478台で、前年同月(8万2,257台)より約4割(42.8%)多くなりました。出品が増えた分を買い手が吸収しきれず、成約率が70.3%から64.4%へ下がったことが、単価の前年割れと同時に起きています。

なお、前年9月は成約車両単価が130万3000円と、8月(122万4000円)から約8万円上がった月でした。前年の水準が高かったために、前年同月比が低く出やすい面があるとみられます。9月単月の前年割れを、相場の急落と読むのは早計です。

中古車市場への影響:小売価格にはまだ表れていない

USSの数字は卸の価格で、店頭の販売価格がすぐ下がるとは限りません。当サイトの相場データで、2026年10月時点の人気車種を見てみます。

車種平均価格流通台数価格帯
トヨタ アルファード425万円7,758台75〜795万円
トヨタ プリウス192万円9,278台15〜415万円

※ 当サイトの相場ページ(2026年10月時点)による参考値です。

小売価格が卸の動きから遅れて反映される傾向があることを踏まえると、仮に卸の軟化が続く場合は、数週間から数カ月のあいだに、店頭の価格や買取価格にも波及してくる可能性があります。一方で、9月の前年割れは1カ月分のデータで、10月以降の成約率や単価が戻るのか、さらに下がるのかは現時点では分かりません。次の10月分の公表を確認するまでは、見通しとして受け止めるのが妥当です。

読者のアクション:売る方・買う方それぞれの見方

買う方:卸の成約率が下がり、売り手側の手元に車が残る状況は、買い手にとって条件が良くなる方向の動きです。ただし店頭価格にはまだ反映されていないため、焦って購入を決める必要はありません。気になる車種の流通台数と価格の推移を、当サイトの買い時診断で確認しておくとよいでしょう。複数の候補を比べる場合は比較ツールが役立ちます。

売る方:卸が軟化に向かえば、買取店の提示額も時間差で下がる可能性があります。売却時期を決めかねている場合は、現在の相場をリセール診断で把握したうえで、複数の査定を取り、金額を比較することをおすすめします。

まとめ

  • USSの2026年9月の成約車両単価は127万5000円(前年同月比97.8%)で、13カ月ぶりに前年を下回りました
  • 出品台数が増えて成約率は64.4%へ下がり、成約に至らなかった台数が前年より約4割多くなっています
  • 4〜9月の累計では前年同期比106.5%と高い水準で、単月の前年割れだけで相場の転換と断定はできません
  • 小売価格への波及は時間差があるとみられ、10月分の公表を確認しながら判断するのが妥当です