中古車オークション最大手のUSSが公表している2026年8月分の月次データによると、会場平均成約価格は前年同月比1.9%高の124万8000円となりました。12カ月連続で前年同月を上回ってはいるものの、伸び率は7月の8.1%から6.2ポイントも縮小し、2026年度(2026年4月〜)に入ってからは最小の伸び率です。8月中はドル円が引き続き円安圏で推移していたにもかかわらず伸び率だけが鈍化した一方、9月に入ってからは為替が大きく円高方向に振れています。買いたい方・売りたい方が今どう考えればよいか、直近のデータから整理します。
結論:伸び率は急減速も価格自体は高原圏、9月の為替次第で潮目が変わる可能性
- USSの2026年8月データでは平均成約価格が124万8000円(前年同月比+1.9%)となり、12カ月連続のプラスは維持したものの、7月の+8.1%から伸び率が大きく縮小しました
- 出品台数は前年同月比9.2%増の25万4517台、成約台数は同4.7%増の16万9966台。成約率は66.8%で、前年同月(69.6%)からは低下した一方、前月の7月(63.8%)からは3.0ポイント改善しています
- 8月28日には米FRB議長の発言を受けてドル円が160円台を回復し、8月31日午前時点でも159円台後半で取引されるなど、円安基調そのものは7月からほぼ変わっていませんでした。伸び率の鈍化は、為替以外の要因(前年8月の水準の高さや需給の一服感など)が影響したとみられ、単一の原因には絞り切れません
- 為替は9月に入って大きく動きました。9月3日に一時155円30銭、9月8日には約半年ぶりとなる152円台後半(152円89銭)まで円高が進んだものの、その後は反発し、9月22日のニューヨーク市場では157円60銭まで値を戻しています。円高の勢いは長続きせず一進一退となっており、10月以降の相場にどう影響するかは現時点では見通しにくい状況です
- 買いたい方は「品薄でも高値」だった局面がひと段落しつつある兆しとして注視する価値があり、売りたい方は12カ月連続プラスという実績が続いているうちに判断するという選択肢も引き続き有効です
何が起きたか:4月から8月までの5カ月間で伸び率が半分以下に
USSは傘下オークション会場(USS東京・USS横浜など)の月次実績を自社サイトで公表しています。2026年度(2027年3月期)に入ってからの推移は次の通りです。
| 月 | 平均成約価格 | 前年同月比 | 出品台数 | 成約台数 | 成約率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 122万1000円 | +14.6% | 34万8991台 | 22万4073台 | 64.2% |
| 5月 | 131万0000円 | +10.6% | 28万1669台 | 18万5404台 | 65.8% |
| 6月 | 131万5000円 | +6.9% | 31万9720台 | 20万9525台 | 65.5% |
| 7月 | 134万5000円 | +8.1% | 35万2947台 | 22万5196台 | 63.8% |
| 8月 | 124万8000円 | +1.9% | 25万4517台 | 16万9966台 | 66.8% |
※ 数値はUSSが公表した月次データによる参考値です。百分率は小数点第2位を四捨五入した数値を使用しています。

4月の+14.6%を起点に、5月+10.6%→6月+6.9%といったん鈍化した後、7月は+8.1%へ再加速していました。8月はそこから一転して+1.9%まで急減速しており、この5カ月間では最も小さい伸び率です。なお、8月は名古屋会場・大阪会場など3会場で前年同月より開催回数が1回少なかったため、単純な曜日補正を行った比較(USS公表・前年同月と曜日をそろえた期間比較)では出品台数が前年比16.3%増、成約台数が同10.5%増、平均成約単価は同3.4%高となっています。補正後でも7月の+8.1%からは大きく鈍化しており、開催回数の違いだけでは説明しきれない減速です。
金額自体で見ても、8月の124万8000円は7月の134万5000円から約9万7000円(7.2%)低い水準です。前年同月比という指標は季節要因を打ち消せる一方、月をまたいだ絶対額の変化まではならしてくれないため、両方の見方を押さえておくと実態がつかみやすくなります。
なぜ鈍化したのか:8月の為替は変わらず円安圏、動いたのは9月から
これまでの相場上昇は、円安を背景にした中古車輸出需要の強さが主因とみられてきました(当サイトが7月データをもとに報じた前回記事を参照)。そこで気になるのが、8月の伸び率鈍化が為替の変化によるものかどうかです。
結論から言うと、8月単体のドル円相場は7月から大きく変わっていません。8月28日には米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長のジャクソンホール会議での発言を受けて160円台を回復し、8月31日午前時点でも159円80銭前後で取引されていました。つまり8月を通じて円安局面が続いており、輸出業者にとっての「仕入れやすさ」という前提条件は大きく変わっていなかったことになります。それでも伸び率が鈍化したという事実は、前年8月がすでに高水準だった反動(ベース効果)や、値上がりが続いたことによる需要の一服など、為替以外の要因が複合的に働いた可能性を示しています。
一方、為替は9月に入って様相が変わりました。9月3日には日米金融当局者の発言(米ベッセント財務長官の円安是正への言及、日銀・植田総裁の利上げに関する発言など)を受けて一時155円30銭まで円高が進行。さらに9月8日には日銀の早期追加利上げ観測やキャリートレードの巻き戻しなどが重なり、一時152円台後半(152円89銭)まで急騰しました。これは2026年2月17日以来、約半年ぶりの円高水準です。もっともこの円高は長くは続かず、9月17日終値時点で155円台後半まで戻し、直近の9月22日ニューヨーク市場では157円07銭〜157円60銭まで一段と値を戻しています。FOMC(米連邦公開市場委員会)の年内利上げ観測によるドル買いが優勢になった一方、原油価格の反落や介入警戒感が上値を抑えるなど、方向感の定まらない展開が続いています。
※ 為替は日々変動するため、あくまで本記事執筆時点(2026年9月23日時点)の参考値です。8月分の月次データにこの9月の為替変動は反映されておらず、影響が出るとすれば早くて9月分・10月分の月次データからになります。
中古車市場への影響:輸出人気車種でも動きに変化の兆し
当サイトの流通データで、輸出人気の高い車種の現在の相場を確認すると次の通りです(2026年9月時点)。
- アルファード:流通7,814台、平均価格426万円、価格帯70万〜810万円
- ランドクルーザー300:流通422台、平均価格1,111万円、価格帯890万〜1,450万円
- ハイエースバン:流通5,391台、平均価格348万円、価格帯125万〜765万円
これらの車種はいずれも中東・アジア圏を中心に海外での人気が高く、これまでの相場上昇局面でオークションの入札が集中しやすい車種として当サイトでも繰り返し取り上げてきました。8月単月のデータだけで「輸出人気車種の相場が下がり始めた」と結論づけるのは早計ですが、伸び率の鈍化と9月の円高が同時に進んでいる状況は、これまでの「円安→輸出旺盛→国内品薄→相場高止まり」という構図に変化が生じつつある兆候として注視する価値があります。
中古車輸出台数そのものは、直近公表されている2026年7月分で14万1011台(前年同月比6.9%減、3カ月ぶりの前年割れ)でした。ただし減少の主因は前年7月に水準が高かったアラブ首長国連邦(UAE)向けの反動とみられ、UAEを除いた実勢では同4.3%増、2026年1〜7月の累計でも同2.1%増(UAEを除くと同15.3%増)となっており、輸出の拡大基調そのものが崩れたとは言い切れません。8月分の輸出統計はまだ公表されていないため、現時点では為替と価格の関係を断定できる段階にはなく、今後の動向は9月・10月の月次データを継続して確認する必要があります。
読者はどうすべきか
買いたい方:12カ月連続プラスという実績は続いていますが、伸び率が7月の+8.1%から+1.9%まで縮んだのは、このところの高止まり局面ではっきりした変化です。9月の為替は円高に振れる場面と値を戻す場面が交互に来ており方向感は定まっていませんが、円高局面がある程度続けば輸出業者の入札圧力が緩み、国内向けの品薄感が和らぐ可能性があります。焦って今すぐ動く必要性は7月時点より低くなっているとみられるため、当サイトの狙い目度マップで年式・走行距離ごとの相場感を確認しながら、9月・10月のデータもあわせて判断材料にすることをおすすめします。
売りたい方:平均成約価格自体は前年を上回る水準を維持しており、今すぐ大きく不利になる状況ではありません。ただし伸び率の鈍化という兆候が出ている以上、「まだまだ上がるはず」と待ち続けるのはリスクが伴います。とくにアルファードやランドクルーザーなど輸出人気の高い車種を保有している場合は、リセール予測で現在の価値感を確認し、早めの判断を検討する価値があります。
様子見の方:今回の鈍化が一時的な調整なのか、円高を起点とした潮目の変化の始まりなのかは、現時点のデータだけでは判断できません。車種比較で候補車種を絞り込みつつ、当サイトが今後公表する9月・10月分のデータもあわせて継続的に確認してください。
まとめ
- USSの2026年8月データでは、平均成約価格が前年同月比1.9%高の124万8000円となり、12カ月連続のプラスを維持したものの、7月の+8.1%から伸び率が大きく縮小しました
- 8月末にかけてドル円は160円前後で取引されており、円安基調そのものに大きな変化はなく、鈍化の要因は為替以外の複合的なものとみられます
- 9月に入るとドル円は一時152円台後半まで急伸した後、9月22日には157円台まで戻すなど方向感の定まらない展開が続いており、10月以降の相場に与える影響はなお見通しにくい状況です
- 買いたい方は焦って動く必要性がやや低下している一方、売りたい方は12カ月連続プラスの実績があるうちの判断も引き続き選択肢になります
なお、実際の取引価格は車両の状態・年式・地域・タイミングによって変動します。9月・10月の月次データが公表され次第、当サイトでも動向を継続して確認していきます。