SUBARU(スバル)が2026年8月5日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月期)決算を発表しました。売上収益は前年同期比3.0%増の1兆2,509億円と増収でしたが、営業利益は同44.3%減の426億円、純利益も同10.3%減の492億円と、増収減益の決算です。同じ週に発表されたトヨタ・ホンダ・スズキが軒並み四半期最高益を記録するなかで、スバルだけが最終減益という対照的な結果になりました。それでも通期の純利益予想(1,300億円、前期比43%増)は据え置いており、「悪い決算」と単純には言い切れない内容です。結論から言うと、米関税や原材料高というコスト圧力は新車価格の上昇要因になりやすく、中古のフォレスター・インプレッサ・レヴォーグの相場を下支えする方向に働く可能性がある一方、自社開発EV(ソルテラ後継)の投入延期は中古EVの将来的な資産価値を見通しにくくしている、というのが今回のポイントです。

※ 情報の鮮度について:本記事はSUBARUの公式決算発表(2026年8月5日、日本時間)を一次情報とし、Car Watch・日本経済新聞・レスポンス(Response.jp)・CAR CARE PLUSなど複数の国内メディアの報道内容と突き合わせて確認しています。発表から本記事公開までの経過時間は3日半〜4日程度で、速報ではなく「決算の意味づけ」を主眼にした解説記事として扱います。

スバルの2026年4-6月期決算とは、何が起きたのか

決算の要点は次の表の通りです。

指標2026年4〜6月期(実績)前年同期前年同期比
売上収益1兆2,509億円約1兆2,145億円+3.0%
営業利益426億円764億円-44.3%
税引前利益614億円約784億円-21.7%
純利益492億円約549億円-10.3%
世界販売(完成車)約22万台約24万3,000台約2万3,000台減

※ 数値はSUBARUの決算発表資料および国内複数メディア(Car Watch・日本経済新聞・レスポンス等)の報道による参考値です。前年同期の売上収益・税引前利益・純利益は、公表された増減率から逆算した概算値のため、実際の開示値とは若干のずれがある可能性があります。なお、国内生産台数は決算と別に2026年7月30日公表の「2026年1〜6月累計」実績(24万3,324台、前年同期比17.0%減、2期ぶりのマイナス)によるもので、4〜6月期単体の数値ではない点にご留意ください。

スバル 2026年4-6月期 営業利益:前年同期764億円→今期426億円、44.3%の減益

減益の主因として報じられているのは大きく3つです。1つ目は米国関税の負担で、関税率自体は2025年9月に27.5%から15%へ引き下げられたものの、前年同期との比較ではなお300億円規模の減益要因になったとされています。2つ目は原材料・市況の悪化で、こちらも100億円台の減益要因です。3つ目は国内工場改修による出荷減で、群馬製作所矢島工場では電気自動車(EV)の量産体制を整えるため、1ラインを約半年間停止して改修しています。この影響もあり、2026年1〜6月累計の国内生産は前年同期比17.0%減の24万3,324台(2期ぶりのマイナス)でした。増収でありながら減益という組み合わせは、単価は上がったが数量・コスト両面で逆風が重なった決算、と読むのが妥当です。

一方で見落とせないのが通期見通しです。SUBARUは2027年3月期の通期業績予想を据え置き、純利益は前期(2026年3月期)比43%増の1,300億円を維持しました。前期の純利益が900億円まで下振れしたのは、米国のEV需要見通しを下方修正したことに伴うEV関連開発資産の減損(約578億円)が主因で、いわば一時的な「特損」で沈んだ前期基準からの反動増という位置づけです。Q1だけを見ると弱含みですが、通期の会社計画そのものは崩れていません。

背景:自社開発EVの投入延期と、HV・エンジン車回帰

今回の決算を理解するうえで欠かせないのが、2026年5月にさかのぼる一連のEV戦略見直しです。SUBARUは同年5月11日に2026年3月期の業績予想を下方修正し、5月15日には自社開発EVの投入時期を延期すると発表しました。背景にあるのは、米国トランプ政権による環境規制の緩和で電動車の中期的な需要見通しが下振れしたことです。この見直しに伴い、EV関連の開発資産について約578億円の減損損失を計上し、前期の営業利益・純利益を大きく押し下げました。

投入延期に伴い、開発投資の重点はハイブリッド(HV)やエンジン車、新型の水平対向エンジンへ再配分される方針が示されています。生産面でも、稼働開始を控える群馬製作所大泉工場はまず内燃機関搭載車の生産から立ち上げ、EVは需要動向を見ながら混流生産に移行する計画とされました。つまりSUBARUは「EVへ一気に舵を切る」路線から、「当面はHV・エンジン車を主力に据えつつ、EVは需要が固まってから増やす」路線へ軌道修正した形です。今回のQ1決算で国内生産が落ちた矢島工場の改修も、この電動化体制づくりの一環にあたります。

スバル 中古車 影響 — フォレスター・インプレッサ・ソルテラはどうなる

IKURA Carsの読者にとって気になるのは、この一連の動きが中古のスバル車にどう波及するかです。ポイントは3つに分けて整理できます。

(1) 現行のフォレスター・インプレッサ・レヴォーグは、当面「主力」であり続ける可能性が高い

自社開発EVの投入が延期され、開発投資の重点がHV・エンジン車に戻ったということは、フォレスター・インプレッサ・レヴォーグ・XVといった現行のガソリン/HVラインナップが、しばらくの間はモデルサイクルの主軸であり続けるということです。フルモデルチェンジ直後は旧型の中古相場が下押しされやすいものですが、その動きが当面は起きにくい環境と言えます。今これらの車種の中古を検討している方にとっては、「型落ちで急に値崩れする」リスクを過度に心配しなくてよい局面です。

(2) 米関税・原材料高というコスト圧力は、新車価格の上昇要因として中古相場を下支えしやすい

今回の決算では、米関税と原材料・市況の悪化が合わせて数百億円規模の減益要因になったと報じられています。この種のコスト増は、いずれ新車価格への転嫁という形で波及することが多く、新車価格が上がれば相対的に中古車の割安感が増し、既存の中古在庫の相場を下支えする方向に働くとみられます。これは今回のスバルに限った話ではなく、8月に入って決算を発表したトヨタ・ホンダ・スズキの記事でも共通して触れているロジックです(トヨタの決算記事もあわせてご覧ください)。ただしスバルの場合は営業利益そのものが減っているため、値上げの原資に余裕があるとは言えず、価格転嫁のペースは他社より緩やかになる可能性もあります。

(3) ソルテラなど自社開発EVの後継モデルは、投入時期が見通しにくい状態が続く

現行のソルテラ(トヨタ bZ4Xの姉妹車)を中古で検討している、あるいは保有している方にとっては、次世代の自社開発EVの投入時期が延期・不透明という点が気がかりな材料です。後継モデルの投入時期が読めない状況は、現行ソルテラの中古相場という観点では「型落ち化による急落」が当面起きにくいことを意味する一方、将来的にEV戦略が固まった段階でまとまった商品改良・値付け見直しが入る可能性もあり、中長期の値動きを見通しにくい状況が続きます。EVの中古車は電池の状態やソフトウェアのアップデート方針によって価値の振れ幅が大きいため、購入・売却のどちらを考えるにしても、他のガソリン・HV車以上に慎重な見極めが必要です。

読者はどうすべきか

  • フォレスター・インプレッサ・レヴォーグの中古を検討している方:現行モデルが当面継続される可能性が高く、急な相場下落リスクは低いとみられます。当サイトの車種比較で候補となる年式・グレードを並べて検討してみてください。
  • 保有しているスバル車の売却タイミングを計りたい方:コスト増が新車価格の上昇圧力となりやすい局面では、保有車の相対的な価値が下支えされやすくなります。リセール予測で3年後・5年後の売却見込みを確認しておくと判断材料になります。
  • ソルテラなど中古EVを検討している方:後継モデルの投入時期が不透明な間は急落リスクが低い一方、将来の商品改定でまとまった値付け見直しが入る可能性も残ります。狙い目度マップで年式・走行距離ごとの相場感を継続的にチェックすることをおすすめします。
  • 決算シーズン全体の流れを追いたい方:当サイトでは今週、トヨタ・ホンダ・スズキ・日産の決算記事もあわせて公開しています。月次の相場動向は2026年7月の中古車相場動向でも整理しているので、あわせてご参照ください。

まとめ

  • SUBARUは2026年8月5日、2027年3月期第1四半期決算で営業利益が前年同期比44.3%減の426億円(764億円→426億円)、純利益は10.3%減の492億円と発表。同時期のトヨタ・ホンダ・スズキの最高益とは対照的な結果でした
  • 減益の主因は米関税負担・原材料市況の悪化・国内工場改修(群馬製作所矢島工場、EV量産体制整備)による出荷減の3点
  • 一方で通期の純利益予想(1,300億円、前期比43%増)は据え置き。前期の落ち込みはEV関連資産の減損(約578億円)による一時的な要因で、会社計画そのものは崩れていません
  • 背景には2026年5月に発表した自社開発EVの投入延期があり、開発投資の重点はHV・エンジン車へ再配分される方針です
  • 中古車の観点では「現行フォレスター・インプレッサ・レヴォーグのモデル末期化リスクが当面低い」「コスト増が新車価格を押し上げ中古相場を下支えしやすい」がプラス材料。一方「ソルテラなど自社開発EVの将来価値は見通しにくい」点は注意が必要です

なお、実際の取引価格は車両状態・地域・時期によって変動します。次回以降の決算やEV戦略の具体化状況によって見通しが変わる可能性がある点は、あらかじめご了承ください。