フォルクスワーゲンとアウディで、ステアリングラック(かじ取り装置)を固定するボルトが腐食で破断するおそれがあるとして、世界で計約286万台のリコールが進んでいることが2026年9月25日、ドイツの自動車監督当局KBA(連邦自動車運輸局)の調査を受けて明らかになりました。対象はフォルクスワーゲンの「ゴルフ」「ゴルフヴァリアント」「ティグアン」「トゥーラン」「キャディ」、アウディの「Q3」です。米国では一部車種を対象に9月11日付で既に届け出済みでしたが、その全体像がこの規模だったことが今回はっきりしました。日本での届け出は本稿執筆時点(2026年9月27日)では確認できておらず、対象車種を保有・検討している読者が今できる確認事項を整理します。
情報の鮮度について
本稿の一次情報は、独KBAの調査結果を受けたフォルクスワーゲン・アウディの発表(2026年9月25日、AP通信・Euronews・Quartzなど各媒体が報道)です。公開時点(2026年9月27日朝)で報道から2日程度しか経過しておらず、速報として扱います。なお、この不具合をめぐっては米国の運輸当局(NHTSA)が9月11日付で対象車種を限定したリコールを届け出ていましたが(キャンペーン番号26V590・対象20万8,724台)、これはあくまで米国仕様の一部グレードに限った届け出です。本稿が扱うのは、KBAの調査で明らかになった「ゴルフ」「トゥーラン」などを含む世界286万台という、より広い範囲の話であり、日本の中古車市場に関係する車種の多くはこちらにしか含まれていません。そのため起点は世界規模が判明した9月25日としています。
何が起きたか
KBAの調査によると、ステアリングラックを車体のサブフレームに固定する右側のボルト周辺に水分が入り込み、経年で腐食が進行してボルトの頭部が破断するおそれがあるとされています。破断すると固定点が1箇所だけになり、最終的にステアリングラックのハウジングにひびが入って操舵に影響するおそれがあるという内容です。アウディは「路面の融雪剤や環境要因への長年の露出により、一部のQ3でステアリング系のボルトが劣化するおそれがあることが社内調査で判明した」としています。KBAは「これまでに人身被害や物的損害につながった事故の報告は確認していない」と説明しており、現時点では予防的な措置という位置づけです。対象台数と生産期間は次のとおりです。
| ブランド・車種 | 生産期間 | 世界での対象台数(概数) |
|---|---|---|
| フォルクスワーゲン ゴルフ/ゴルフヴァリアント/ティグアン/トゥーラン/キャディ | 2013年9月24日〜2024年7月1日 | 約216万台(うちドイツ国内約90万台) |
| アウディ Q3 | 2017年10月31日〜2024年5月23日 | 約69.6万台(うちドイツ国内5万8,555台) |
このほか米国では、2018年式ティグアン(8万5,713台)・2018〜2019年式アトラス(8万2,601台)・2019〜2021年式アウディQ3(4万410台)の合計20万8,724台について、NHTSAへ個別に届け出済みです。修理は右側のステアリングラック固定ボルトを腐食しにくい部品に交換するもので、所要時間は最大1時間、費用は無償とされています。
なぜ「トゥーラン」「キャディ」まで対象になったのか
米国での届け出がティグアン・アトラス・アウディQ3という比較的大きめのSUV系グレードに限られていたのに対し、今回KBAの調査で明らかになった世界規模の対象には、コンパクトなハッチバックの「ゴルフ」やミニバンの「トゥーラン」、商用ベースの「キャディ」まで含まれています。これは、フォルクスワーゲングループがステアリングラックの固定ボルトという部品を車種の垣根を越えて共通で使っていたためとみられます。同じ部品を使っていれば、どこかの地域で不具合が見つかった時点で、その部品を使う全車種・全市場が対象になり得るというわけです。米国仕様と世界仕様で対象の生産年式が完全には一致しない(例えばアウディQ3は米国が2019〜2021年式、世界規模の届け出は2017〜2024年生産)のも、地域ごとに規制当局への届け出タイミングが異なるためと考えられます。
日本での届け出はまだ確認されていない
本稿執筆時点で、フォルクスワーゲン公式サイト・アウディジャパン公式サイトのリコール情報ページを確認しましたが、今回のステアリングラック固定ボルトに関するリコールの掲載は確認できませんでした(フォルクスワーゲン側で直近に掲載されているのは2026年4月の電動パワーステアリング制御プログラムの不具合で、今回とは別の内容です)。国内で販売されている「ゴルフ」「ティグアン」「アウディQ3」が、ドイツで対象になっている生産期間と重なる車両を含むかどうかは現時点では分からず、日本の国土交通省への届け出が今後行われる可能性もあります。**「日本ではまだ対象外」ではなく「日本での取り扱いが未確定」**という状態である点に注意してください。
中古車市場への影響
対象となりうる車種は、当サイトの実際の流通データ(2026年9月時点)では次のようになっています。
| 車種 | 流通台数 | 平均価格 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| フォルクスワーゲン ゴルフ(全グレード) | 1,001台 | 265万円 | 45〜645万円 |
| フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント | 406台 | 248万円 | 25〜525万円 |
| フォルクスワーゲン ティグアン | 288台 | 352万円 | 90〜550万円 |
| フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン | 139台 | 240万円 | 40〜460万円 |
| アウディ Q3(全グレード) | 205台 | 296万円 | 70〜550万円 |

※ 数値は当サイト独自の流通データによる参考値で、車種全体(対象外の年式・型式を含む)の集計です。今回のリコール対象となる生産期間・型式だけを絞り込んだ集計ではない点にご注意ください。「キャディ」は国内での商用登録が中心で流通数が少なく、当サイトの相場データには掲載がありません(2026年9月時点)。
不具合自体は事故報告のない予防的な措置で、部品交換によって解消する性質のものです。無償修理で対応できる不具合であることから、対応が完了すれば中古での資産価値を大きく損なうものではないとみられます。ただし、ステアリング(操舵)に関わる不具合は查定・商談の場で必ず話題になる項目であり、対応状況が分かる書類の有無は今後の売却・購入判断に影響しうる要素です。
読者がすべきアクション
- 対象車種を保有している人:車検証の型式・車台番号と、初度登録年(輸入時期)を確認しておきましょう。フォルクスワーゲンカスタマーセンター(0120-993-199)またはアウディコミュニケーションセンター(0120-598119)に車台番号を伝えれば、現時点で対象かどうかの回答を得られる可能性があります。「不自然な金属音やガタつきが前輪付近から聞こえる」といった兆候があれば、対応を待たずに早めに相談することをおすすめします。
- 中古での購入を検討している人:2013〜2024年に生産されたゴルフ・ゴルフヴァリアント・ティグアン・トゥーラン、2017〜2024年生産のアウディQ3を検討する場合は、販売店に「このステアリングラックのボルト腐食に関するリコール(米国26V590に関連する不具合)の対応状況」を確認しましょう。日本での届け出が確定していない現状では、販売店自身も情報を持っていない可能性がありますが、記録として問い合わせた事実を残しておくと安心です。
- 売却を検討している人:現時点では日本向けの対応方針が未確定のため、査定時に無理に言及する必要はありません。今後国内での届け出があった場合は、対応完了の記録を残しておくことが査定時のプラス材料になります。
輸入車全般の中古相場・買い時の考え方はベンツ・BMW・アウディなど輸入車、7月新車登録10%減で独勢が軒並み不振 中古の買い時は、フォルクスワーゲン・アウディの別のリコール事例はフォルクスワーゲン・アウディに燃料タンクリコール ゴルフR/T-ROC R・TT・S3など1,727台でも整理しています。対象車種を保有している方はリセール診断で売却タイミングの目安を確認し、これから購入を検討する方は愛車診断や車種比較ツールで、今回の対象車種と非対象の年式・グレードの相場を見比べてみてください。
まとめ
フォルクスワーゲンとアウディで、ステアリングラック固定ボルトの腐食による不具合を理由に、世界で計約286万台のリコールが進んでいます。対象はゴルフ・ゴルフヴァリアント・ティグアン・トゥーラン・キャディ・アウディQ3で、米国では一部車種が9月11日付で個別に届け出済みですが、その全体像がこの規模だったことが2026年9月25日に明らかになりました。日本での届け出は本稿執筆時点では確認できておらず、対象になりうる年式の車両を保有・検討している場合は、今後の発表を待つとともに、販売店やメーカー窓口への確認を早めに行っておくことをおすすめします。