国土交通省は2026年9月16日、フォルクスワーゲンとアウディの合わせて10型式・1,727台について、燃料タンクの不具合によるリコールの届出を受理したと発表しました。対象はフォルクスワーゲンの「ゴルフR」「ゴルフRヴァリアント」「T-ROC R」と、アウディの「TT」「TTS」「S3」「RS3」「SQ2」「A3 40Tq」で、いずれも四輪駆動(quattro・4motion)の高性能グレードです。2023年前後に輸入され、現在は中古車市場に一定数流通している年式にあたります。すでに保有している読者が確認すべき点と、中古での購入を検討する際に見ておきたいポイントを整理します。

※ 情報の鮮度について:本稿は国土交通省が2026年9月16日に届け出た2件のリコール(フォルクスワーゲン:届出番号 外-4238、アウディ:届出番号 外-4239)を一次情報としています。本稿公開時点(2026年9月17日朝)で届出から1日程度しか経過しておらず、速報として扱います。

何が起きたか

国土交通省が公開したリコール届出一覧表によると、フォルクスワーゲングループジャパンが同じ日に2件のリコールを届け出ました。1件はフォルクスワーゲンブランド車、もう1件はアウディブランド車で、不具合の内容はどちらも同一です。

不具合の内容:四輪駆動車用の燃料タンクにおいて、タンク内の内圧を調整するバルブの設計検討が不十分なため、当該バルブが閉じないものがある。そのため、燃料タンクの内圧が上昇した際に燃料がACF(チャコールキャニスター)内へ流入し、燃料が漏れるおそれがある――というものです。現時点で事故の報告はなく、発見のきっかけは市場からの情報(ユーザーからの申し出など)とされています。改善措置は全車両で燃料タンクとACFをともに対策品・新品に交換するというもので、リコール開始日は「準備でき次第」とされています。

対象は次の10型式です。

ブランド通称名型式対象台数輸入期間
フォルクスワーゲンゴルフR 2.0/235kW3BA-CDDNFF184台2023年4月6日〜2023年11月27日
フォルクスワーゲンゴルフRヴァリアント 2.0/235kW3BA-CDDNFV156台2023年4月22日〜2024年1月16日
フォルクスワーゲンゴルフR 2.0/245kW7BA-CDDNFF150台2023年4月22日〜2023年10月27日
フォルクスワーゲンT-ROC R 2.0/221kW7BA-A1DNFF379台2023年3月8日〜2023年10月17日
アウディTTS3BA-FVDNFF86台2023年1月28日〜2023年6月20日
アウディTT 45Tq3BA-FVDNPF164台2023年1月28日〜2023年6月20日
アウディSQ23BA-GADNFF12台2023年1月28日〜2023年6月13日
アウディS33BA-GYDNFF105台2023年1月28日〜2023年6月20日
アウディA3 40Tq3BA-GYDNNF343台2023年1月28日〜2023年6月15日
アウディRS33BA-GYDNWF148台2023年1月28日〜2023年6月20日

※ 台数はフォルクスワーゲン計869台・アウディ計858台(いずれも国土交通省の届出資料による)。同一の車台番号範囲内でも対象外の車両が含まれる場合があるため、正確な該当有無はメーカー・販売店への照会が必要です。

燃料タンクリコール対象、型式別の台数(計1,727台)。フォルクスワーゲンはT-ROC R 379台・ゴルフR 235kW 184台・ゴルフRヴァリアント 156台・ゴルフR 245kW 150台の計869台、アウディはA3 40Tq 343台・TT 45Tq 164台・RS3 148台・S3 105台・TTS 86台・SQ2 12台の計858台

台数だけを見るとT-ROC R(379台)とA3 40Tq(343台)の2型式が突出しており、この2つで対象全体(1,727台)の4割強を占めます。いずれもフォルクスワーゲングループの中でも比較的販売台数の多いモデルの高性能グレードで、街中で見かける機会も相対的に多い車種です。

なぜ4WDグレードだけが対象なのか

今回の不具合は「四輪駆動車用の燃料タンク」に限定されている点が特徴です。同じゴルフやTT・A3でも、前輪駆動(2WD)グレードは対象に含まれていません。四輪駆動車は駆動系レイアウトの都合で燃料タンクの形状・配管が2WD車と異なることが多く、内圧調整バルブの設計もグレードごとに個別最適化されています。今回はその4WD専用設計の側で不具合が見つかった格好です。裏を返せば、同じ車種名でも2WD(フロントドライブ)グレードであれば今回のリコール対象には当たらないため、該当有無を確認する際は「車種名」だけでなく「型式」まで見る必要があります。

中古車市場への影響

対象車種は、フォルクスワーゲン・アウディの中でも走行性能を重視した上級グレードが中心です。当サイトの実際の流通データ(2026年9月時点)を見ると、車種全体(2WDグレードを含む)としては次のようになっています。

車種流通台数平均価格価格帯
フォルクスワーゲン ゴルフ(全グレード)969台261万円45万〜645万円
フォルクスワーゲン T-ROC(全グレード)565台311万円120万〜520万円
アウディ TT(全グレード)273台200万円35万〜615万円
アウディ A3スポーツバック(全グレード)426台259万円45万〜445万円
アウディ RS3スポーツバック36台551万円275万〜815万円
アウディ S32台250万円220万〜280万円

※ 数値は当サイト独自の流通データによる参考値で、車種全体(2WD・4WD双方、対象外の年式・型式を含む)の集計です。今回のリコール対象である「R」「RS」「S」「quattro」系の4WDグレードだけを絞り込んだ集計ではない点にご注意ください。S3は流通2台とサンプルが極めて少なく、参考程度にとどめてください。

不具合の内容自体は「対策品への部品交換で解消する」性質のもので、事故報告もないことから、対象車を保有しているからといって直ちに資産価値が損なわれるものではないとみられます。ただし、リコール歴の有無は査定額や商談材料になり得るため、次の章の確認は済ませておくと安心です。

読者がすべきアクション

  • 今対象車を保有している人:型式(コンプライアンスプレートまたは車検証の型式欄で確認できます)と車台番号が、上表の範囲に含まれるかをまず確認してください。該当する場合は、フォルクスワーゲンカスタマーセンター(0120-993-199)またはアウディコミュニケーションセンター(0120-598119)、もしくは購入した販売店へ連絡し、対策部品への交換(無償)を受けられます。
  • 中古で購入を検討している人:対象になりうる年式(2023年前後の輸入車)のR・RS・S・quattro系グレードを検討する場合は、販売店に「リコール対応済みかどうか」を確認しましょう。未対応でも国の指示で無償修理を受けられる制度のため、購入自体を避ける必要はありませんが、商談時の確認事項としては押さえておきたいところです。
  • 売却を検討している人:リコール対応済みであることは、査定時にプラス材料として伝えて問題ありません。整備記録簿や対応完了の書類が残っていれば、査定時に提示すると安心材料になります。

なお、輸入車全般の中古相場・買い時の考え方はベンツ・BMW・アウディなど輸入車、7月新車登録10%減で独勢が軒並み不振 中古の買い時はでも整理しています。円安によるコスト増でドイツ系ブランドの新車販売が伸び悩む中、中古市場での相対的な価値は底堅く推移しているという文脈もあわせて確認すると、今回のリコールをどう受け止めるべきかの判断材料になります。

中古車の購入を検討している方は、車種比較ツールで対象グレードと非対象グレードの相場を横並びで確認したり、予算シミュレーターで維持費も含めた総予算を試算したりできます。すでに保有している方は、リセール診断で今後の売却タイミングの目安を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

フォルクスワーゲンとアウディの4WD高性能グレード計10型式・1,727台が、燃料タンクの内圧調整バルブ不具合により国交省へリコール届出されました。対象は2023年前後に輸入された「ゴルフR」「T-ROC R」「TT」「TTS」「S3」「RS3」「SQ2」「A3 40Tq」で、いずれも部品交換で解消する性質の不具合であり、事故報告もありません。中古での資産価値を大きく損なうような性格の不具合ではありませんが、該当する型式・車台番号を保有している、または購入を検討している場合は、対策の完了状況を確認しておくことをおすすめします。