テスラ中国は2026年9月25日、Model 3とModel Yの購入者向けに、10月31日までの注文を対象とした値引きを発表しました。9月7日に始めた施策に続く、同じ月の2度目の値引きです。日本の中古テスラを売る人・買う人にとって、この動きが直接の値下げ材料になるかというと、そうとは言い切れません。ただ、日本ではすでに新車Model Yが補助金込みで中古の平均価格を下回る水準にあり、新車側の「実質価格」が下がり続ける構図は中古相場を考えるうえで無視できません。
※ 情報の鮮度について:中国の値引き施策は、中国のEV専門メディアCnEVPostが2026年9月25日に報じた内容を一次報道としています。一次報道から4日弱が経っているため、速報ではなく「9月25日に出た動きを、日本の中古テスラ相場に引きつけて読み解く」解説として書いています。9月7日の前回施策はCnEVPostの同日の報道、日本の補助金込み価格はBloombergとJapan Timesが2026年9月18日に伝えた内容によります。
何が起きたか:テスラ中国の9月2度目の値引き
CnEVPostの報道によると、9月25日に発表された施策の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 2026年10月31日までに注文した中国国内の新車 |
| Model 3 | 全グレードで最終支払額から5,000元(約740ドル)値引き |
| Model Y | 一部グレードで7,000元(約1,040ドル)値引き |
| 金融 | 最長5年間の無金利ローン |
| オプション | 8,000元分の塗装色の優待、3種類の充電特典から1つ選択 |
| 保険 | Model 3(パフォーマンスAWDを除く)に8,000元の保険補助 |
※ 数値はCnEVPost(2026年9月25日)による参考値です。ドル換算は同紙の表記に従っています。
9月7日にはすでに、在庫車を対象にModel Yを10,000元・Model 3を5,000元値引きする施策が始まっていました(9月30日までに納車する在庫車が条件)。今回の施策は前回と併用できず、在庫車に限らず10月末までの注文が対象で、納車も通常の順番で進みます。Model Yの値引き額は10,000元から7,000元に縮んだ一方、対象は在庫車から通常注文に広がった形です。
背景には、中国国内の販売の弱さがあります。CnEVPostは、テスラ中国の販売が6月から8月まで3カ月連続で前年同月を下回っていると伝えています。値引きを重ねてでも需要を刺激したい、という会社側の事情がうかがえます。
直前に買った人の不満が出ている
値引きが短期間に重なったことで、直前に納車を受けた購入者から不満の声が上がっていると報じられています。9月6日に納車を受け、翌7日に始まった10,000元の値引きの対象から外れた購入者が、補償を求めたという内容です。テスラ側は「納車済みの車両は最新の施策を遡って適用できない」と説明したと伝えられています。
この話は中国国内の出来事ですが、中古車の目線では示唆があります。新車の価格や特典が短期間に動くと、少し前に新車を買った人の「買った価格」と、中古市場で付く価格との差が開きやすくなります。手放す側は、購入時の価格ではなく「いま新車がいくらで買えるか」を基準に見られる、という点は、日本の中古テスラにも共通する前提です。
日本はどうか:新車Model Yは補助金込みで東京360万円
日本の新車価格には、まだ中国の今回の施策そのものは反映されていません。今回の報道は中国国内向けの施策についてで、日本向けの価格改定には触れていません。
一方で、日本の新車Model Yは、補助金によってすでに大きく割安になっています。Bloombergは2026年9月18日、東京在住の購入者ならModel Yを約360万円(22,889ドル)から購入できると報じました。車両本体価格は約560万円で、国と東京都の補助金を合わせて最大およそ200万円が差し引かれる計算です。日本向けのModel Yは中国・上海から供給されており、円安も加わって、ドル建てでは世界でもっとも安い水準になったと伝えられています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| Model Y 車両本体価格(日本) | 約560万円 |
| 国・東京都の補助金(最大の目安) | 約200万円 |
| 東京在住の場合の実質負担 | 約360万円 |
※ 数値はBloomberg・Japan Times(2026年9月18日)の報道による参考値です。補助額は居住地・登録条件・グレードの審査結果で変動し、全員が上限の補助を受けられるわけではありません。ドル換算額は報道の表記(22,889ドル)に従っています。
補助金は新車の新規登録時に1回限りで、中古車の購入には基本的に適用されません。中古と新車を比べるとき、この非対称が価格差の出方を左右します。国と東京都の補助制度そのものの拡充については、テスラなど輸入EVが7月28%増の記事で詳しく整理しています。
中古テスラの相場:Model Yの平均は東京の新車実質価格より高い
ここで当サイトの相場データを見てみます。テスラの中古車は2026年9月時点で5車種・計419台が流通しています。
Model Y(2026年9月時点)は流通141台、価格帯は250万〜650万円、平均価格は387万円です。年式別では、2025年式が28台(370万〜650万円)、2024年式が15台(330万〜450万円)、2023年式が50台(250万〜490万円)、2022年式が43台(250万〜650万円)となっています。走行距離別では、1万〜2万kmが36台(310万〜650万円)、2万〜3万kmが27台(270万〜650万円)、5万〜7万kmが16台(250万〜390万円)です。
Model 3(同)は流通201台、価格帯は150万〜530万円、平均価格は278万円です。年式別では、2022年式が61台(190万〜510万円)、2021年式が87台(170万〜530万円)と、この2年式で流通の中心を占めています。走行距離の最多帯は2万〜3万kmで38台、次いで3万〜4万kmが37台でした。
※ 数値は当サイト独自の市場分析に基づく参考値です。実際の取引価格は個体の状態・地域・時期で変動します。
ここから読み取れるのは、Model Yの中古の平均387万円が、東京在住者の新車実質価格の約360万円より約27万円高いという点です。もちろん、この比較には条件があります。中古の平均は年式・走行距離・グレードが混在した値で、2025〜2026年式の高額な個体が平均を押し上げています。新車の360万円も、補助金の上限を満たす東京在住者の場合に限られます。それでも、中古の平均的な個体より新車が安くなりうる、という状況が現実に起きています。
中古の売り時・買い時をどう考えるか
中国の値引きが直接日本の中古価格を動かすわけではありませんが、方向性としては、新車の実質価格が下がるほど、中古の値付けには下押しの力が働きやすいとみられます。今回のように新車側の特典が短期間に何度も動く局面では、次の整理が実用的です。
売却を考えている方
- 新車が補助金込みで安くなっているのは、Model Yのように補助の対象になりやすい車種です。同じ予算なら新車を選ぶ買い手が増えれば、年式が新しい・走行距離が少ない個体ほど比較されやすくなります。
- 売却の判断を先送りするほど、新車側の条件が動く回数が増え、相場の見通しは読みにくくなります。まずリセール計算で、いまの推定価値を確認しておくのが現実的です。
購入を考えている方
- 補助金は中古には基本的に適用されないため、中古を選ぶ場合は「補助金込みの新車」と総額で比べる必要があります。予算シミュレーターで並べて確認してください。
- Model 3の2021〜2022年式のように、平均278万円・価格帯150万〜530万円と幅が広い年式では、個体差が価格に直結します。走行距離・バッテリーの状態・保証の残りをそろえて比べないと、割安かどうかを判断できません。車種比較も参考になります。
- 購入時のチェック項目は、Model 3・Model Yの調査に関する記事にまとめています。
待つべきかどうか
- 中国の値引きは10月31日の注文分までです。この先、日本向けの価格や特典が動くのかは、現時点で報じられていません。「待てば下がる」と断定できる材料はなく、あくまで新車側の動きを見ながら判断する局面です。
- タイミングの目安は買い時マップで確認できます。
まとめ
- テスラ中国は9月25日、Model 3を5,000元・Model Yを7,000元値引きする施策を10月31日注文分まで開始。9月7日の施策に続く同月2度目で、CnEVPostによれば中国の販売は6〜8月の3カ月連続で前年割れです
- 日本では新車Model Yが東京在住なら補助金込みで約360万円(Bloomberg・Japan Times、9月18日)。当サイトの2026年9月時点のデータでは、中古Model Yの平均は387万円(141台)、中古Model 3の平均は278万円(201台)です
- 補助金は中古には基本的に適用されないため、中古Model Yの平均が東京の新車実質価格を上回る状況になっています。ただし条件付きの比較で、全員に当てはまるわけではありません
- 今回の中国の施策が日本向け価格に及ぶかどうかは、現時点で報じられていません。売る側は早めに現在の相場を確認し、買う側は補助金込みの新車と総額で比べることをおすすめします
なお、実際の取引価格・補助金額は個体の状態や居住自治体、審査結果によって変動します。売買を検討する際は、最新の相場情報と補助金制度をあわせてご確認ください。