日産自動車は2026年10月6日、7月16日に発売した新型「エルグランド」の累計受注台数が、10月4日時点で1万300台に達したと明らかにしました。目標台数は公表していないものの、日産は「目標を少し上回るペース」と説明しています。納期は4〜5カ月と伝えられており、「新車は待てない」「先代や中古のアルファードで済ませるか迷う」という読者にとっては、中古相場の見方が変わりうる数字です。結論から言うと、新型の人気は新古車(登録済み未使用車)の価格を高止まりさせる方向に働く一方、先代エルグランドは下取りで流通が増える可能性があり、いまの中古相場は「新型の影響が出る前の途中経過」とみられます。
※ 情報の鮮度について:一次情報は、日産が2026年10月6日に明らかにした受注状況です。公表から5日弱が経っているため、速報ではなく「いま中古で探す人にどう結びつくか」を整理する構成にしています。受注の数字は報道各社の記事で一致を確認し、納期は日刊自動車新聞(2026年10月7日付の配信)の記載によります。中古車相場はikura-cars.com調べ(2026年10月時点)の参考値です。
新型エルグランドの受注1万300台とは 何が明らかになったのか
新型エルグランドは、2026年7月16日に発表・発売された、約16年ぶりの全面刷新モデルです。第3世代のe-POWERと、前後にモーターを備える4WDシステム「e-4ORCE」を全車に搭載し、新車価格は税込でX e-4ORCEが689万7,000円、G e-4ORCEが757万9,000円です。
今回明らかになった受注状況の要点は次のとおりです。
- 累計受注は、発売から3カ月弱の2026年10月4日時点で1万300台
- 購入の中心は40代・50代の男性。男性が92%を占め、年代は50代が31%、40代が23%、60代が20%、70代以上が14%、30代以下が13%
- 日産車の既納客(日産車に乗った経験のある客)が全体の70%、他社車などからの新規にあたる未納客が30%。正式発表・発売以降の受注に限ると、未納客は38%
- 下取りに出される車は、LLサイズのミニバンが50%で最多。次いでMサイズのミニバンが24%、SUVが20%
- 納期は4〜5カ月(日刊自動車新聞)
※ 納期はグレードや時期で幅があります。8月時点の販売店取材では、Xが約4カ月、人気のGが約6カ月とする報道もありました。
発売月である7月の新車販売台数は、日本自動車販売協会連合会の集計で1,883台、乗用車の車名別順位は36位でした。受注の積み上がりに対して、納車が追いついていない状況がうかがえます。
グレード別の受注 上級グレードに集中している
グレード別では、上級の「G e-4ORCE」が57%と過半を占めました。カスタム系の「AUTECH e-4ORCE」が14%、「AUTECH LINE e-4ORCE」と「VIP e-4ORCE」がそれぞれ10%で、最廉価の「X e-4ORCE」は9%です。

ボディカラーは、白系が約4割(プリズムホワイトが41%)、黒系が約3割(ミッドナイトブラックが33%)で、2トーンの「FUJI DAWN(フジドーン)/至極(シゴク)プレミアム」は8%でした。
高額なグレードと装備が選ばれているため、納車される新型は、新車の段階で価格帯が高い車に集まっています。この点は、後述する新古車の相場を読むうえで重要です。
中古相場への見方 新古車・先代・アルファードの3つに分けて考える
新型エルグランドの受注が中古相場にどう波及するかは、「新古車」「先代(E52型)」「競合のアルファード」の3つに分けると整理しやすくなります。
新古車 新車待ちを避けたい需要の受け皿になる可能性
納期が4〜5カ月と長いと、「すぐ乗りたい」人が登録済み未使用車や走行の少ない2026年式に流れやすくなります。ikura-cars.comのエルグランドの相場ページでは、2026年10月時点で2026年式が38台、価格帯は715〜755万円です。新車価格がX e-4ORCEで689万7,000円、G e-4ORCEで757万9,000円ですから、新古車は新車と同じ水準か、やや上の価格で並んでいます。
納期が短くなる、あるいは受注が落ち着くまでは、この水準が崩れにくいとみられます。逆に言えば、新古車を新車価格近辺で買うなら、納期の長さを「お金で時間を買っている」と理解したうえで判断する必要があります。
先代エルグランド 下取りで流通が増える可能性
先代の購入者が新型へ乗り換える場合、先代は下取りや買取に回り、中古市場に出てきます。今回の発表では、下取り車の半数がLLミニバンとされていますが、そのうち先代エルグランドやアルファード、ヴェルファイアがどの程度かまでは示されていません。
自社データでは、エルグランドの流通は2026年10月時点で1,319台、平均価格は174万円、価格帯は35〜755万円です。この数字には、新型の2026年式(38台)も含まれており、平均を押し上げています。年式別に見ると、次のとおりです。
| 年式 | 台数 | 価格帯 |
|---|---|---|
| 2026年式 | 38台 | 715〜755万円 |
| 2024年式 | 11台 | 275〜555万円 |
| 2023年式 | 30台 | 155〜695万円 |
| 2022年式 | 40台 | 135〜495万円 |
| 2021年式 | 101台 | 115〜555万円 |
| 2019年式 | 78台 | 75〜435万円 |
| 2017年式 | 106台 | 55〜435万円 |
※ 数値はikura-cars.comの2026年10月時点の参考値です。価格帯の上限には、特別仕様車や極端に高い個体が含まれる場合があります。
流通が最も厚いのは2012年式の371台で、次いで2014年式135台、2015年式111台、2017年式106台、2021年式101台と続きます。先代の後期(2020年10月のマイナーチェンジ以降の年式)の流通は、新型への乗り換えが進むにつれて増える可能性がありますが、現時点では新型の納車が始まったばかりで、下取りが本格化する前の状態です。
先代を狙う場合は、新型の納車が進む冬から来春にかけて在庫が増えるかを見ながら、焦らず比較するのが現実的です。ただし、流通が増えたからといって価格が下がると決まったわけではなく、あくまで条件付きの見通しです。
アルファード 乗り換え需要の影響は限定的とみられる
下取りの50%を占めるLLミニバンには、アルファードやヴェルファイアも含まれるとされています。一方で、アルファードの中古は流通が7,859台と厚く、平均価格は424万円、価格帯は75〜795万円です(2026年10月時点)。
年式別では、2024年式が913台で475〜795万円、2021年式が1,257台で175〜795万円と、年式によって大きく異なります。エルグランドの2024年式が11台・275〜555万円であることと比べると、アルファードは台数が桁違いに多く、相場も幅広く形成されています。
このため、新型エルグランドの受注が1万台規模になっても、7,859台が流通するアルファードの相場全体が動くとは考えにくく、影響は限定的とみられます。アルファードを選ぶ読者は、エルグランドの動向よりも、年式ごとの価格差を見て判断するほうが実態に合います。アルファードの世代差と相場の詳しい見方は、「アルファードの中古車相場、いま本当はいくら?世代で約220万円の差【2026年版】」で整理しています。
読者のアクション
- 新型エルグランドを中古で探している方(新古車):新車の納期が4〜5カ月と長いため、新古車は新車価格と同じ水準で並んでいます。車種比較ツールで、新古車と新車の差額、納期との引き換えを数字で確認してください。
- 先代エルグランドを検討している方:新型の納車が進むと、下取りで先代の流通が増える可能性があります。冬から来春にかけて、在庫と価格の動きを見ながら選ぶのが現実的です。買い時マップで、年式ごとの割安なゾーンを確認できます。
- 先代エルグランドやアルファードを持っていて、売却を考えている方:新型への乗り換え需要で下取りが増える時期は、買取の競争が強まる場合があります。リセール予測で将来の価値の目安を確認し、複数の見積もりを比べてください。
日産の直近の動きは、「日産、国内生産体制を再編 追浜のノート・キックスは九州へ 中古相場は」でも取り上げています。
まとめ
- 日産は2026年10月6日、新型エルグランドの累計受注が10月4日時点で1万300台に達したと明らかにしました。納期は4〜5カ月と伝えられています
- グレードは「G e-4ORCE」が57%で、上級グレードが9割超。高額な車に受注が集まっています
- 中古では、新古車(2026年式38台・715〜755万円)は新車価格に近い水準で並び、納期が長いうちは高止まりしやすいとみられます。先代は下取りで流通が増える可能性がありますが、価格がどう動くかは、今後の台数次第です
- アルファードは流通7,859台・平均424万円と厚く、新型エルグランドの受注による影響は限定的とみられます
実際の取引価格は、個体の状態や地域によって変動します。売買のタイミングは、最新の相場とあわせて確認してください。