日産自動車のイバン・エスピノーサ社長は、朝日新聞の単独取材に応じ、スポーツセダン「スカイライン」の新型(14代目・V38型)を2026年12月に発表すると明らかにしました(本稿執筆時点=2026年9月21日の情報。一次報道は2026年9月18日で、発表から3日ほど経過しています。速報ではなく、現行V37型がモデル末期に入るなかで中古相場をどう見るべきかという解説の切り口で整理します)。新型は2026年4月の長期ビジョン発表会でティザー画像が公開されて以来、12年ぶりのフルモデルチェンジとして注目を集めてきました。結論から言うと、12月の発表は新型そのものの話であり、中古で流通している現行V37型の相場を今すぐ動かす材料ではありません。一方で、現行モデルが生産終盤に入ったことを示すニュースであり、年式・グレードによって今後の値動きの傾向が分かれやすくなる局面といえます。何が発表されたのかと、中古V37型スカイラインの相場への影響を整理します。

何が起きたか:エスピノーサ社長が12月発表を明言

朝日新聞の単独取材(2026年9月18日配信)によると、エスピノーサ社長は新型スカイラインについて「日産復活の象徴になる」と述べ、12月の発表会には自ら登壇する予定であることを明らかにしました。新型は、日産が新たに採用したAI(人工知能)を活用する開発プロセスで作られた最初の量産車で、開発期間は従来の約50カ月から約26カ月へとほぼ半分に短縮されています。

新型スカイラインの存在自体は今回が初出ではありません。日産は2026年4月14日の長期ビジョン発表会で、新型スカイラインのティザー画像を世界で初めて公開し、スカイラインを「ハートビートモデル」(日産らしさを体現し、ブランドの情緒的価値を担う中核モデル)と位置づけていました。自動車専門媒体WEB CARTOP(2026年9月19日)によると、その後公開が進んだティザーでは、丸型4灯のテールランプや筆記体の「Skyline」エンブレムなど、歴代モデルを想起させる意匠が採り入れられていると報じられています。パワートレインの正式スペックは12月の発表を待つ必要がありますが、現行400Rと同様のV型6気筒ツインターボを土台にした構成になるとの観測も出ています。

「現行V37型」とは:2014年発売、2019年に400Rを追加

現行のスカイラインは、2014年2月26日に発売されたV37型です。2019年7月16日には大幅な一部改良を発表し、同年9月から高速道路でのハンズオフ走行に対応した運転支援システム「プロパイロット2.0」を初搭載するとともに、最高出力405PS(298kW)・最大トルク475Nmを発生するV型6気筒ツインターボエンジン(VR30DDTT)を積む最上位グレード「400R」(発売時価格552万3,120円)を追加しました。この400Rは歴代スカイラインの中でも最高出力を誇るグレードとして知られています。

現行V37型は発売から2026年で12年目に入っており、この間フルモデルチェンジを経ていません。日産は2026年9月10日発表の国内生産体制再編で、栃木工場第1工場を「スポーツカーの生産拠点」と位置づけ、フェアレディZとスカイラインの生産を担うと明確化しています(詳細はこちらの記事で整理しています)。同じ栃木工場発のフェアレディZは2026年8月27日にマイナーチェンジしNISMOに6速MTを追加したばかりで(関連記事)、スカイラインは同じラインで作られる「もう一台のスポーツカー」が、新型を控えて世代交代の順番を迎えた形です。

数字の整理:現行V37型スカイラインの中古相場

当サイトのスカイラインの中古車相場ページによると、2026年9月時点の流通台数は792台、平均価格284万円、価格帯は40万〜880万円です。年式別に見ると、次のような分布になっています。

年式流通台数価格帯
2012年式310台40万〜880万円
2014年式120台40万〜280万円
2015年式49台40万〜400万円
2024年式25台340万〜880万円
2025年式8台340万〜560万円
2026年式5台740万〜780万円
中古スカイラインの年式別流通台数(2026年9月時点)

図のとおり、流通の主力は先代V36型を含む2012年式前後の古い年式で、2012年式だけで792台中310台(約39%)を占めます。一方、直近3年式(2024〜2026年式)を合計しても38台にとどまり、全体の5%に届きません。※ 数値は当サイト独自の市場分析による2026年9月時点の参考値です。

中古車市場への影響:年式・グレードで値動きが分かれやすい局面

一般に、フルモデルチェンジの発表は現行モデルの新車販売現場での値引き拡大につながりやすく、それに連動してすぐ下の年式の中古車価格にも下押し圧力がかかりやすいとされています。ただし今回はまだ「12月に発表」という段階で、発売・価格・グレード構成は明らかになっていません。現時点では、現行V37型の相場が急落するような材料ではなく、あくまで「モデル末期に入った」という位置づけの変化として受け止めるのが妥当です。

注目すべきは、現行V37型の中古在庫が構造的に薄い年式ゾーンを抱えている点です。表のとおり2024年式以降の流通はわずか38台で、価格帯も340万〜880万円と高水準に張り付いています。フルモデルチェンジで生産が終了すれば、この直近年式・良質車の供給はこれ以上増えず、そのまま希少化していく可能性があります。とくに405PSの400Rのように、次期モデルでも同じ形で再現される保証のないグレードは、生産終了後に相場が下支えされやすい典型例です。一方、2012年式を中心とする古い年式・走行距離の多い個体は、新型発表を機に「型落ち感」がいっそう強まり、値引き材料として扱われやすくなる可能性があります。※ 相場の先行きはあくまで見通しであり、確実な予測ではありません。

読者はどうすべきか

  • 400Rなど上位グレードの購入を検討している方:直近年式の在庫は38台と薄く、生産終了後は同スペックの供給が止まる可能性があります。値動きを長期的に見たい場合はリセールツールで将来の下取り目安を確認しておくとよいでしょう。
  • 予算重視で古い年式を検討している方:2012年式は310台と選択肢が多く、価格帯も40万円からと手が届きやすい水準です。新型発表後に値引きが広がる可能性もあるため、狙い目度マップで今のタイミングを確認してみてください。
  • 新型を待つか、現行を今買うか迷っている方:新型の発売時期・価格は12月の発表を待つ必要があります。現行400Rと先代・先々代モデルとの装備差やスペック差は車種比較ツールで見比べたうえで判断することをおすすめします。

まとめ

日産のエスピノーサ社長は朝日新聞の取材で、新型「スカイライン」(14代目・V38型)を2026年12月に発表すると明らかにしました。AIを活用した新たな開発プロセスにより開発期間は約26カ月とほぼ半減しており、日産にとって「復活の象徴」と位置づけられる一台です。現行V37型は2014年の発売から12年目に入りモデル末期を迎えており、中古市場では792台が流通、平均価格284万円、価格帯は40万〜880万円です。直近年式・上位グレードの在庫は38台と薄く、生産終了後は希少化する可能性がある一方、古い年式は値引き材料として扱われやすくなりそうです。新型の詳細は12月の発表を待ちつつ、年式・グレードごとに異なる値動きを見極めて検討するのがよさそうです。