日産自動車は2026年9月10日、1BOXバン「キャラバン」と、いすゞ自動車が姉妹車として販売する「コモ」について、ブレーキ倍力装置へ送る負圧を作り出すバキュームポンプの部品が熱劣化などで破損することがあるとして、合計3万6,766台の改善対策を国土交通省に届け出ました(本稿執筆時点=2026年9月13日の情報。一次情報は国土交通省の改善対策届出資料〈2026年9月10日付〉、および同日付のトラックニュース配信記事です。届出から本稿公開までの経過時間は保守的に見て80時間前後で、72〜120時間帯にあたるため、速報ではなく内容の整理を中心にお伝えします)。破損した部品が負圧の通り道をふさぐと、通常より大きくブレーキペダルを踏み込まないと想定した制動停止距離で止まれなくなるおそれがあるという内容です。中古でキャラバン・コモを検討している方が押さえておきたいポイントを整理します。

キャラバン・コモの改善対策とは:届出の中身

国土交通省への届出資料によると、今回の改善対策の概要は次の通りです。

  • 対象車両:日産「キャラバン」36,576台+いすゞ「コモ」190台の合計36,766台(5型式・2車種)
  • 製作期間:2022年3月24日〜2025年9月16日
  • 不具合内容:バキュームポンプのチェックバルブについて、構成部品の材質が不適切なため熱劣化等により破損することがある。破損した部品が負圧経路を閉塞すると、バキュームポンプからブレーキ倍力装置への負圧供給が行われず、通常より大きなブレーキ踏力が必要となり、想定よりも制動停止距離が長くなるおそれがある
  • 不具合の申告件数:37件(うち物損事故4件。けが人の報告なし)
  • 改善措置:対象車両すべてについて、バキュームポンプを対策品に交換(無償)
  • 発見の動機:市場からの情報による

型式別の内訳は次の通りです。

型式通称対象台数製作期間
VN2E26キャラバン17,495台2022年3月24日〜2025年9月5日
VN6E26キャラバン16,847台2022年3月24日〜2025年9月16日
CN4E26キャラバン792台2022年4月5日〜2025年8月29日
CN8E26キャラバン1,442台2022年3月24日〜2025年8月29日
JVN2E26コモ(いすゞ)190台2022年6月24日〜2025年6月4日

※台数・製作期間は国土交通省の届出資料による。

なお今回の措置は「リコール」ではなく「改善対策」として届け出られています。国土交通省の説明によれば、改善対策届出は「リコール届出と異なり道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全確保及び環境保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製作の過程にあると認められるとき」に行われるものとされています。読者にとって重要なのは呼び方の違いより、対象であれば無償で部品交換を受けられるという点です。

なぜ起きたか:ブレーキが効きにくくなる仕組み

今回の不具合は、エンジンの吸気負圧などを利用してブレーキを踏む力を軽くする「ブレーキ倍力装置」に負圧を送るバキュームポンプが起点です。ポンプ内のチェックバルブに使われている部品の材質が不適切だったため、熱による劣化などで破損することがあるとされています。破損した部品が負圧の通り道をふさぐと、ブレーキ倍力装置へ十分な負圧が届かなくなり、通常よりも強くブレーキペダルを踏み込まないと、想定した制動距離で止まれなくなるおそれがあります。これまでに37件の不具合が申告されており、うち4件は物損事故に至っていますが、けが人の報告は無いとされています。

対象期間は2022年3月24日〜2025年9月16日と3年半にわたっており、型式ごとに見ても対象生産分は概ねこの範囲に収まっています。改善措置は全車両でバキュームポンプを対策品に交換する内容で、部品交換を伴うため、対策部品の在庫状況によっては入庫まで日数がかかる可能性があります。

中古車市場への影響:キャラバンの相場は

当サイトの相場データでは、2026年9月時点で日産キャラバンは流通689台・平均価格351万円、価格帯は65万〜645万円です。年式別では2026年式が254台と最も多く流通しており、価格帯は245万〜645万円です。※数値は当サイト独自集計による2026年9月時点の参考値です。

一方、いすゞコモは登録台数自体が少ない商用車のため、当サイトに単独の相場ページは無く、まとまった流通データは確認できません(2026年9月時点)。中古でコモを検討する場合は、姉妹車であるキャラバンの相場・グレード構成を参考にしつつ、個別の車両状態を確認する必要があります。

今回の対象期間(2022年3月24日〜2025年9月16日)は、キャラバンの年式別流通でいうと2022年式〜2025年式のおおむね全体に重なります。対象範囲が広いため、現行世代のキャラバンを中古で検討する場合、対象個体に行き当たる可能性は相応にあるとみられます。今回の不具合はブレーキの制動性能に関わる内容であり、車両価値そのものより先に、対策の要否を安全確認の一項目として押さえておきたいところです。

読者はどうすべきか

  • 中古でキャラバン・コモを検討中の方:車台番号(車検証に記載)を控え、日産自動車の公式サイトまたは正規ディーラーの窓口で対策の実施状況を確認しましょう。対策は部品交換を伴うため、未実施であれば商談時に対応時期を確認しておくと安心です。査定診断ツールで現時点の相場感もあわせて確認しておくと判断材料になります。
  • すでにキャラバン・コモを所有していて売却を検討している方:対策実施済みであることは、商用車としての安全性・整備状況を示す材料になります。リセール予測ツールで今後の下取り想定額の目安を確認しつつ、点検整備記録簿に対策実施の記載があるかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
  • 同クラスの商用バンと比較検討したい方:車種比較ツールで、他メーカーのバンとの価格・装備差もあわせて確認できます。ブレーキ・足回り関連の不具合という点では、今月はジープ「グランドチェロキー」のリアコイルスプリング不具合(関連記事)も届け出られており、制動・走行安定に関わる不具合は中古車選びで見落としやすいポイントのひとつです。

リコール・改善対策の対象かどうかは、車台番号をもとに日産自動車の公式サイトまたは正規ディーラーの窓口で確認できます。中古車販売店で商談する際も、対象期間に該当しそうな個体であれば、その場で対応状況の照会を依頼して問題ありません。

まとめ

日産自動車は2026年9月10日、「キャラバン」と姉妹車の「コモ」について、バキュームポンプの部品劣化によりブレーキが効きにくくなるおそれがあるとして、合計3万6,766台の改善対策を国土交通省に届け出ました。対象期間は2022年3月24日から2025年9月16日までと広く、現行世代のキャラバンを中古で検討する際に対象個体へ行き当たる可能性は相応にあります。措置は無償のバキュームポンプ交換で、これまでの不具合はいずれも物損にとどまりけが人の報告は無いとされていますが、制動距離に関わる内容である以上、購入前・売却前を問わず対策の実施状況を車台番号で確認しておくことが実務上のポイントになります。